忙しい日々を送る毎日、疲れがとれない、気分が上がらない。そんなとき、あなたはどうしていますか?
ゆっくりお風呂に入ったり、自分の趣味に没頭する時間を作ったり、お昼まで眠ったりと、様々な方法でリフレッシュしているのではないかなと思います。
そんな中、みなさんは、日々の食事で食べるものを少し工夫するだけでカラダの調子を良くすることができる、ということをご存知でしょうか?
本記事では、食事を工夫することでカラダのコンディションを整える方法を、全2回に渡って紹介します。今回は第一弾「たんぱく質」編です。
たんぱく質の役割とはどういったものなのか?という基本的な知識から、美容やメンタルヘルス向上にもたんぱく質が重要な理由、更に、どのような食品にたんぱく質が多く含まれているのかや、1日に摂取すべきたんぱく質の量についても、詳しく解説していきます。
たんぱく質の3つの役割
はじめに、五大栄養素の一つである、たんぱく質の役割について紹介します。
「たんぱく質=筋肉」とイメージする人も多いかもしれませんが、たんぱく質はカラダの中で様々な働きや役割を持った栄養素です。
1)カラダの原材料
筋肉、骨、皮膚、髪など、私たちのカラダは頭の先から足のつま先まで、すべて食事で摂ったたんぱく質からつくられています。
そして、人のカラダは常に新しくつくられ続けています。ターンオーバーとも言いますが、例えば、肌は28日前後で新しく生まれ変わるので、常にその原材料であるたんぱく質を摂取して、カラダの中に豊富にあることが大切です。
2)ホルモン・酵素をつくる
ホルモンの働きは、全身の内臓や組織に指令を送り、カラダの機能を調整することです。
インスリン、メラトニン、セロトニンといったホルモンの名前を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?
ホルモンの働きをよくすることは、カラダの調子を整えることにつながります。
ホルモンの名前 | 働き |
---|---|
インスリン | 血糖値を下げる |
コルチゾール | 抗ストレスを促進する |
メラトニン | 睡眠を促進する |
セロトニン | 気分を調節する |
甲状腺ホルモン | 基礎代謝を促進する |
酵素は、体内の化学反応をスムーズに行うために必要不可欠な物質です。
カラダの中には、消化を助ける「消化酵素」をはじめ、エネルギーをスムーズに作り出すための「代謝酵素」、活性酸素を除去するために活躍する「抗酸化酵素」などがあります。
たんぱく質からつくられたホルモンが指令をだし、たんぱく質からつくられた酵素によって、スムーズに化学反応が起こります。つまり、体内で正常な反応を行うためには、十分なたんぱく質が必要であることがわかります。
3)免疫力と関係の深い抗体の生成
抗体とは、「免疫グロブリン」と呼ばれるたんぱく質の一種であり、カラダの中に入ってきた病原体やウイルスを見つけて、排除する働きをしています。
抗体は、病原体やウイルスの特定の部位(=抗原)にピッタリと結合することでカラダを守っています。
たんぱく質はカラダを作るだけではなく、カラダの中の調子を整えることや、病気に負けないカラダをつくる上でも、非常に大きな関係がある栄養素なのです。
美容にもたんぱく質が大切
カラダの原材料となるたんぱく質は、肌やホルモンとの関わりも深く、美容にも欠かせない栄養素です。
1)赤ちゃんの肌がみずみずしい理由
産まれたばかりの赤ちゃんの肌は水分がたくさん含まれていて、ぷるぷるでキメ細かいですよね。あのぷるぷる肌の秘密は「ペプチド結合」にあります。
ペプチド結合とは、アミノ酸とアミノ酸のつながりの部分を指します(アミノ酸=たんぱく質が分解した状態の物質)。
ひとつのペプチド結合につき、水分子が1つできるので、日々成長していく赤ちゃんは、カラダの中でたんぱく質が優先的につくられ、たくさんのペプチド結合がどんどんできている状態となるので、水分量が多くなり、ぷるぷるの肌になっているのです。
大人になると、成長のために使われるたんぱく質は少なくなっていきますが、カラダの中に十分なたんぱく質がある状態だと、カラダはどんどんペプチド結合を作り出そうとします。
よって、たんぱく質が不足しないように、食事から十分なたんぱく質量を摂取することで、赤ちゃんのようなみずみずしい肌に近づく一歩になることでしょう。
2)美しさの源はホルモン
前述しましたが、ホルモンの原材料はたんぱく質です。そして、カラダの中でホルモンの分泌がしっかり行われることは「美容」と関わりが深いことが、近年注目されています。
例えば、カラダを成長させるための指令を出す「成長ホルモン」です。
もちろん成長期の子供たちとは大きな関わりのあるホルモンですが、大人にとっても成長ホルモンの働きは、肌の質やダイエットなどと関係が深いホルモンです。
成長ホルモンには、肌をつくりかえたり、骨を丈夫にしたり、脂肪の分解を促したりする働きがあります。
成長ホルモンは、就寝後3時間が経過したタイミングで分泌がピークに達すると言われており、深い眠りをしっかりととることで、成長ホルモンの分泌が促進されると言われています。
ココロをつくるたんぱく質
人はみんな「ココロ」を持っています。私たちが嬉しい、楽しい、と感じられるのも、実はたんぱく質のおかげです。
楽しさや、快活さと関わりの深い「ドーパミン」。やる気や判断力がみなぎる「ノルアドレナリン」。平穏や安定感を感じる「GABA」。幸福感や睡眠を促す「セロトニン」や「メラトニン」。
これらはすべて、たんぱく質が原材料となってつくられる「神経伝達物質」です。
これらの物質が、頭の中でバランスよくやり取りされることによって、私たちのココロは安定して、平穏な生活を送ることができます。たんぱく質は心のバランスを保つためにも、関わりの深い栄養素なのです。
意識してたんぱく質を多く含む食品を食べよう!
タンパク質は「カラダをつくる栄養素」と一言で言っても、カラダの様々なところで大切な働きをしている栄養素です。
美容、健康、心にも関わりが深いタンパク質を、毎日の食事で積極的に食べる意識をしてみましょう。
1)たんぱく質が豊富な食品
たんぱく質が豊富な食品としてあげられるのは「魚類」「肉類」「卵」「豆類」です。
- 魚類:サバ、マグロ、カツオ、イワシ など
- 肉類:鶏肉、豚肉、牛肉 など
- 豆製品:納豆、豆腐、豆類 など
2)一日のたんぱく質摂取の目安
厚生労働省が示している、1日のたんぱく質の摂取基準は以下の通りです。
【大人のカラダを健康に保つために必要なたんぱく質量】
体重1kg×1〜1.5g/日(※60kgの人の場合、60〜90g)
一食当たり20グラム前後のたんぱく質を食べることがお勧めなのですが、20グラムと言われても何をどのくらい食べれば良いか、わかりにくいですよね。
例えば、魚や肉類なら、100グラムあたりで20グラム程度のたんぱく質が含まれていることが多いです。また、卵1個、豆腐100グラム、納豆一パックは、6グラム程度です。
一つの目安としては、手のひら一枚分くらいの大きさが20グラム程度に相当すると言われていますので、参考にしてみて下さい。
3)手軽にとれるたんぱく質で、いつもの食事にプラス一皿!
忙しい朝や外食では、特にたんぱく質が不足しがちです。そこで、いつもの食事にプラス一つ、もしくは一皿加える工夫をしてみましょう。
プラスの一品として、多くの人が手軽に手に入れられるであろうたんぱく質源は、以下のようなものがあげられます。
- 豆腐
- 納豆
- ゆで卵
- シーチキン(オイル不使用)
- 枝豆
- ナッツ類(素焼き)
- 豆乳ドリンク
ゆで卵をプラスしてみたり、いつものサラダにアーモンドなどのナッツ類をのせてみたり、工夫一つで手軽にたんぱく質をプラスすることができます。
まとめ
本記事では、たんぱく質の役割や、カラダのコンディションとたんぱく質の関係についてお伝えしました。
最近疲れがたまりやすい、元気がでない、と感じている方は、ぜひ日々の食事にたんぱく質を一皿追加してみてはいかがでしょうか?
毎回の食事で必ず摂らなくても大丈夫です。一日一食だけでも、変化を感じられるかもしれません。
いつもなら、おにぎり2個にしてしまうところを、チキンとおにぎりに変えてみる。そんな小さな変化が、カラダにとっては大きな変化につながるかもしれません。