近年、様々な場所で「フットサルフィールド(=フットサルを楽しめる場所)」を見かけるようになりました。

フットサルは限られたスペースでも楽しむことができるスポーツであるとともに、ルールを少し工夫することで、男女一緒に、もしくはサッカー初心者と経験者が、一緒にプレーをすることができます。

また、ビジネスパーソンにとっても、仕事の合間やちょっとした休暇に、気軽に取り組むことができるアクティビティであり、実際に企業内でのサークル活動として、フットサルを楽しむ方も多く見られます。

ただ、毎日忙しく働くビジネスパーソンにとって、フットサルのパフォーマンス(=競技力)をもっと高めたいと考えたとき、なかなかジムに通ったり、サッカー教室のようなイベントに参加する時間を確保するのは、難しいという方は多いと思います。

そこで本記事では、自宅で簡単に行うことができる「フットサルの競技力を向上させるストレッチや筋力トレーニング」を7つ厳選して紹介します。

本記事で紹介するトレーニングは、フットサル初心者でも筋トレ初心者でも、安全にかつ自宅ですぐに始めることができ、毎日1つだけでも行うだけで、フットサルのパフォーマンス向上につながります。

空いた時間を活用して、テレビや動画等を見ながらでも行っていくことで、フットサルの競技力向上はもちろん、日々のストレス解消や体力維持・向上にもつながるため、ビジネスパーソンには特におすすめの内容となっております。


【監修者】平岡 俊介

  • ペスカドーラ町田 トップチームトレーナー(2022-2024)
  • ペスカドーラ町田 U-18トレーナー

日本最高峰のフットサルリーグ・Fリーグに所属するペスカドーラ町田でトレーナーを経験。トップアスリートに対してフィジカルトレーニングを行い、怪我での離脱のないシーズンを前提に1試合通じて疲れない身体と負けない身体作りのサポートを行う。

フットサル競技力向上のための筋力トレーニングのコツは「日本人に合ったものをやる」こと

スポーツをしていた方、もしくは現在されている方であれば、好きな選手や憧れのアスリートはいますよね?

私はベッカムです。ベッカムに憧れてサッカーを始め、ベッカムのフォームを真似たり、髪型を真似たり、なんてこともありました。

サッカー好きの人であれば、クリスティアーノ・ロナウドやイブラヒモビッチ、メッシなど、多くの方が欧米の選手に憧れを抱いたのではないでしょうか?

ここで考えていただきたいのが「人種」と「骨格」です。

日本人というのは、元来「農耕民族」です。対して、欧米人は「狩猟民族」や「戦闘民族」です。

農耕をするときの姿勢と、狩猟をするときの姿勢を思い浮かべてみてください。

農耕は、前のめりになり、鍬などで土を掘ります。そのため、身体の前側の筋肉、例えば前ももの筋肉である大腿四頭筋が優位になります。

対して狩猟のときはどうでしょう?走る動作が多いため、骨盤は立ち、胸を張っている姿勢となります。この場合、後ろ側の筋肉、例えばもも裏の筋肉であるハムストリングスや、背中の筋肉群が優位になります。

このように、遺伝子レベルから日本人と欧米人では骨格の作りが違うのです。そのため、海外選手が行うようなトレーニングをしても、動きを真似しても、近づくことはなかなか難しいのです。

では、どうすれば良いのでしょうか?答えは、日本人の骨格に合ったトレーニングをしていくことです。ここから、日本人の骨格に合った、フットサル競技力向上におすすめのストレッチやエクササイズをご紹介していきます。

フットサルのためのおすすめ自宅筋力トレーニング7選

ではここから、自宅で簡単にできるストレッチや筋力トレーニングをご紹介します。

1)お尻ストレッチ(大臀筋)

「走る動作」や「蹴る動作」において、実はとても重要な役割を果たすのが「お尻」の筋肉です。

大臀筋が硬いと、前屈(=腰を曲げて上半身を前側に倒す動き)に制限が出たり、骨盤が前傾(=いわゆる反り腰)してしまい、腰痛の原因になることもあります。

大臀筋をストレッチして柔軟にすることで、フットサルの競技力向上はもちろん、腰痛の改善・予防にも効果が期待できます。

  1. お尻の筋肉を伸ばす側の脚の膝と股関節を90度にセットし、反対側のお尻は床から浮かないようにしながら、脚を真後ろに伸ばします。
  2. お尻の筋肉を伸ばす側の脚の膝を手で押さえながら、前方に体重をかけていきます。このとき、お尻が床から浮いたり、腰が反らないように注意しながら行います。
  3. 気持ち良い強さで30秒間程度伸ばしたら、反対側も行いましょう。

2)アキレス腱ストレッチ(ヒラメ筋)

足首(=足関節)の柔軟性は、怪我の予防やフットサルの競技力向上に大きな影響をもたらします。

ただアキレス腱を伸ばすだけではなく、足首の関節の可動域を広げることを意識しながらストレッチを行うとより良いでしょう。

  1. ストレッチする足の足首を90度にして、片膝を立てるようにしてしゃがみます。
  2. 両手を組み、足首の前側にある凹みに親指をあてて、押し込むようにして押さえます。
  3. 親指を押し込みながら、徐々に前方に体重をかけていき、アキレス腱のストレッチ感を感じましょう。
  4. 30秒間程度行ったら、反対側も行います。

3)ヒップリフト(臀筋群・ハムストリングス)

臀筋群や、もも裏とお尻の付け根の部分(=ハムストリングス)を活性化させるトレーニングです。

やり方によって強度が大きく変化するため、最初は強度の低いものから行い、余裕が出てきたら徐々に強度を上げてみましょう。

  1. 仰向けになり、両膝を90度に曲げて膝を立て、両足は地面にしっかりとくっつけます。
  2. そこから片脚を持ち上げます。この時、上げた脚の高さは、逆側の脚の膝と平行にします。
  3. 地面を両手で押さえて、お腹を突き出すようにしてお尻を上げます。お尻の付け根がキュッと縮める意識をして行いましょう。背中は、肩甲骨の下あたりまでは浮かせます。
  4. 10回上げ下げを繰り返しましょう。

これが余裕になってきたら、1つずつレベルを上げてみましょう。

【レベル2】地面につけている足のつま先を浮かせて、かかとだけで支えて持ち上げます。

【レベル3】椅子やベッドなど、股関節と膝が90度になるくらいの高さのものに足を乗せて行います。

【レベル4】バランスボールにかかとを乗せて行います。

4)ヒールキック(ハムストリングス)

ヒップリフトでは、ハムストリングス(=もも裏の筋肉)のお尻側の付け根部分にフォーカスをしたトレーニングでしたが、ヒールキックはハムストリングスの真ん中あたりにフォーカスをあてて行っていきます。

地味ですが、しっかり行うとじんわりと疲労感を感じるかと思うので、ぜひトライしてみましょう。

  1. 背すじを伸ばして直立します。
  2. 背中が丸まったり、お腹が突き出たりしないように注意をしながら、片足立ちになって、かかとをお尻に近づけます。しっかりともも裏を収縮させて、できるだけかかとをお尻に近づけましょう。
  3. グーッとかかとをお尻に近づけて(もしくはかかとをお尻に押し当てて)1〜2秒キープしたら、ゆっくり膝を伸ばして元に戻します。これを左右10回ずつ繰り返します。
  4. 10回ずつ行ってまだ余裕があれば、今度は膝の曲げ伸ばしを速いペースで20回行ってみましょう。

5)カーフレイズ(腓腹筋)

“第2の心臓” とも呼ばれるふくらはぎの筋肉を強化するトレーニングです。つりやすい方や疲れやすい方、またむくみやすいという方にもおすすめのトレーニングです。

  1. 壁や椅子に手をかけてバランスをとれるようにして、直立します。
  2. かかとをできる限り上に持ち上げて、つま先立ちになります。このとき、ふくらはぎの筋肉を使っている(=収縮させている)ことに意識を向けましょう。
  3. 上げたところで1〜2秒止まり、ゆっくり下ろします。これを10回繰り返しましょう。
  4. 10回行って、まだ余裕がある方は、かかとの上げ下げのスピードを早めて更に10回行ってみましょう。

6)マウンテンクライマー(腸腰筋・心肺機能)

膝を胸に引きつける動作は、フットサルはもちろんのこと、「走る」動作を行う運動やスポーツにおいて非常に重要です。

腕立て伏せのような体勢で行うマウンテンクライマーは、股関節の前側にある腸腰筋(ちょうようきん)を鍛えるとともに、体幹筋群の活性化も促すため、コアトレーニングとしても効果的です。

また、速い動きで行うとともに、短い休憩を挟んで数セット繰り返すことで、心肺機能の向上も期待できますよ。

  1. 両手首が肩の真下にくるように両手をつき、足は腰幅にして、腕立て伏せのような体勢を作ります。
  2. 背中や腰が丸まったり、お尻が上に上がってこないように注意しながら、片膝を胸に引きつけます。
  3. 引き付けた足を元の位置に戻すと同時に、逆脚の膝を胸に引き付けます。
  4. 速いリズムで、テンポで良く交互に膝を胸に引き付けていきましょう。10〜20回程度行います。

7)片足ルーマニアン・デッドリフト(下半身全体)

お尻から下の筋肉群を効率よく鍛えることができる上に、フットサル競技に必要な「バランス力」も同時に鍛えることができるトレーニングです。

強度や難易度はかなり高めのため、無理はせずにチャレンジしてみましょう。

  1. 直立姿勢から、片脚の膝を曲げて持ち上げます。バランスがとりにくい場合は、椅子の背もたれや壁に手を触れながら行ってもOKです。
  2. 片足立ちの状態から、両手を前方に伸ばしながら上体を倒し、浮かせている脚はまっすぐ伸ばしたまま後ろに引き上げて、頭から引き上げた脚のかかとまでが一直線になるようにします。
  3. 頭から脚のかかとまでが地面と平行になるところまで倒したらそこで1〜2秒キープし、ゆっくり上体を起こして片足立ちに戻ります。
  4. 10回繰り返したら、反対側も行いましょう。

まとめ

自宅でできる、フットサル競技力向上に効果的なストレッチや筋力トレーニングを厳選して7つご紹介しました。

どれも特別な道具は使わずにできるものばかりですが、実際にFリーグのフットサル選手も行っているトレーニングです。

「フットサル向け」ということで今回は様々なエクササイズをご紹介しましたが、フットサルを行わない肩でも、姿勢の改善やダイエット効果も期待できるメニューとなっていますので、ぜひ1つでもお試しいただければと思います。

大切なのは「何事にもチャレンジして、習慣化していく」ことです。ぜひ、周りの人も巻き込みながら、ちょっとした運動を習慣化して、フットサルの競技力を上げていきましょう!