Appleのスティーブ・ジョブズ氏、Metaのマーク・ザッカ―バーグ氏、元Twitterのジャック・ドーシー氏など、著名な実業家が好んで行ったという「ウォーキング・ミーティング」をご存知でしょうか。

その名の通り「歩きながら行うミーティング」のこと。歩きながら(身体を動かしながら)ミーティングを行うことによる脳へのポジティブな効果から、ウォーキングミーティングを取り入れる日本の企業も増えているようです。

本記事では、「歩く」ことによる脳への効果をエビデンスを用いて紹介し、ウォーキングミーティングの様々なメリットをお伝えしていきます。

長時間の座りっぱなしは脳にも身体にも良くない

厚生労働省が報告した世界20カ国における平日の座位時間1を見ると、日本人の座位時間が20カ国の中で最も長いことが報告されています。

また、20万人以上を対象としたオーストラリアの調査2では、座位時間が4時間未満の人と比較して、座位時間が11時間以上の人は、脂肪リスクが40%上がることも示されています。

死亡リスクだけではなく、長時間の座りっぱなしはその他にも多くの健康リスクが高まることを専門家が指摘しています。

筋肉の代謝の低下や全身の血行の悪化のほか、高血圧、肥満、糖尿病、がん、脳血管疾患など、さまざまな病気を引き起こす原因にもなり得るのです。

影響を受けるのは身体ばかりではありません。うつ病や認知症など、メンタルにも悪影響を及ぼす可能性があります。

そうは言っても、いそがしいビジネスパーソンは、なかなか運動する時間が取れないという人も多いのではないでしょうか。

そんな場合におすすめなのが、ウォーキングミーティングです。立ち上がったり、身体を動かす活動を、仕事で組み込むことによって、長時間座り続けることを避け、生活に無理なく運動を取り入れることができます。

歩くことで脳のパフォーマンスが向上する

多くのエビデンスによって、歩くこと(=身体活動を行うこと)によって脳の様々な部位が活性化し、脳のパフォーマンスが向上することが明らかになっています。

1)記憶力が向上する

筑波大学が2018年に行った研究3によると、10分間の軽い運動(=最大酸素摂取量の30%程度)を行った後にMRIで脳の活動を検査したところ、海馬とその周辺領域の活動が高まっていたことを報告しています。

「海馬(かいば)」は脳の記憶処理に大きく関わる部位であるため、何かを記憶する必要がある前に、10分間の軽いウォーキングを行うことで、その記憶活動がよりスムーズに行われる可能性があります。

2)クリエイティビティが高まる

アメリカ・スタンフォード大学が2014年に行った研究4によると、トレッドミルの上を歩きながら創造性を測るテストを受けた場合、座ったまま受けたときと比較して81%もスコアがアップした、と示されています。

歩いているとき(もしくは動いているとき)は「発散思考」と呼ばれる能力が高まると言われており、これによってクリエイティブな発想が生まれやすいことがわかっています。

新しいアイデアを出さなければいけないときや、仕事がうまく進まないときは、一度立ち上がってみましょう。歩きながら考えたり、人とコミュニケーションをとることで、フッと良いアイデアが浮かんでくる可能性があります。

3)集中力が向上する

アメリカ・メイヨー・クリニックによる健康な若者を対象とした研究5では、被験者が以下のように4つのグループに分けられました。

  1. 運動なし
  2. 軽い運動を30分間
  3. 中強度運動を30分間
  4. 高強度運動を30分間

それぞれ行った後に集中力に関する認知テストを行ったところ、中強度運動グループは運動なしグループと比較してスコアが約20%高かったことを報告しています。

なにか集中して取り組むべき事柄があるときは、その前に速歩き程度の強度(=少し呼吸が乱れる程度)で30分ほど歩いたり体を動かしてみましょう。その後、脳は集中モードになって、仕事が捗るはずです。

ウォーキングミーティングではよりコミュニケーションが円滑になる

一般的な会議では、お互いの顔が見えるように席を配置するのが一般的でしょう。一方、ウォーキングミーティングは、歩くという性質上、同じ方向を向いて行うことが多くなります。

それにより、上下関係を感じにくく、威圧感が緩和されるため、よりフラットに発言をしやすくなる、ということが、ウォーキングミーティングのメリットの1つとして挙げられます。

更に、同じ方向を向いて歩きながら話すことは、立場を超えて一体感を生み出す効果もあるため、よりよいアイデアが生まれたり、チームの団結力がより強固になる、といったメリットも存在します。

日本のオフィスは都市部にあることが多いため、外を歩きながらミーティングを行うことが難しいという企業も多いのではないでしょうか。そんな場合は、室内で歩くことでも、外を歩いたときと同様の効果が得られるようです。

室内でウォーキングが可能な器具を利用する

なかなかチームのみんなで外で歩きながらミーティングをするのは現実的ではない、という場合、室内にスペースがあれば、WALKOLUTION(ウォーコローション)のようなウォーキング専用の器具を利用するのも方法です。

木製の高級感ある優しいフォルムのWALKOLUTIONは、歩く際に自然な弾力が感じられます。FSC(Forest Stewardship Council/森林管理協議会)の認証を受けたブナの木が使われているので、SDGsにも配慮されているのが特徴です。

WALKOLUTIONであれば、それぞれが自分のペースで歩くことができるというメリットがあります。ミーティングを中断することなく、立ち止まってパソコンをチェックしたり、休むことも可能です。

また、電源不要・キャスター付きなのでどこにでも設置でき、モーター音などの騒音の心配もありません。ミュンヘン工科大学では、図書館にWALKOLUTIONが設置されているそうです。

ヨーロッパでは、オフィスだけでなく、健康意識が高い一般家庭にも広まってきています。

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まとめ

長時間の座りっぱなしによる脳や身体への悪影響から、歩くことで向上する脳のパフォーマンスについてお伝えし、仕事として身体を動かす機会を作り出すことができるウォーキングミーティングのメリットをお伝えしてきました。

身体を動かすことは、身体の多くの機能を向上させる効果があります。座りっぱなしでウンウン唸りながら考えを絞り出すのではなく、立ち上がって、歩きながら考えることで、思いもよらない良いアイデアが生まれる可能性があります。

ぜひ、ウォーキングミーティングで、生産性のある時間を過ごしていただければと思います。

参考文献・資料

  1. 座位行動 「座位行動」とは?. Accessed April 29, 2024. https://www.mhlw.go.jp/content/000656521.pdf
  2. van der Ploeg HP, Chey T, Korda RJ, Banks E, Bauman A. Sitting time and all-cause mortality risk in 222 497 Australian adults. Arch Intern Med. 2012;172(6):494-500.
  3. Suwabe K, Byun K, Hyodo K, Reagh ZM, Roberts JM, Matsushita A, et al. Rapid stimulation of human dentate gyrus function with acute mild exercise. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018;115(41):10487-10492. ​
  4. Oppezzo M, Schwartz DL. Give your ideas some legs: the positive effect of walking on creative thinking. J Exp Psychol Learn Mem Cogn. 2014;40(4):1142-1152.
  5. Loprinzi PD, Kane CJ. Exercise and cognitive function: a randomized controlled trial examining acute exercise and free-living physical activity and sedentary effects. Mayo Clin Proc. 2015;90(4):450-460.​