共稼ぎ世帯が増加している今、育児休業を取るのが当たり前の時代になりました。育児・介護休業法の改正により、今後は男性の育休の取得率が増加することが見込まれます。
しかし、育休を取った後の職場復帰に戸惑う声は少なくありません。それに加え、長期化する新型コロナウイルス感染症の流行により、社会や企業は臨機応変な対応を求められています。変化の激しい状況が続く職場も多いのではないでしょうか。

今回は、育休から復帰したものの、なかなか状況に適応できないという不安をもつA子さんのお話を例に紹介します。

育休明けの仕事のブランクに悩むA子さん

1年近い産休・育休を経て、仕事に復帰したA子さん。かつては、自信をもって仕事をこなしていました。しかし、育休から復帰してみると、わからないことや教えてもらうことが増え、自主的に動くことに戸惑いを感じています。また、業界の状況や仕事の進め方のほか、コロナ禍により、かつての常識が非常識になっていることも多々あります。いわゆる「浦島太郎状態」になっていました。
それに加え、子どものことも気がかりです。仕事も育児も、全てが中途半端に感じてしまい、仕事復帰後は、落ち込むことが多いといいます。

A子さんの悩みは、決して他人事ではありません。育休のほか、何らかの理由で仕事にブランクができた人は、感じたことがある悩みではないでしょうか。

ノートや紙に書き出してみる

自分の弱みを受け入れるのは、つらく、嫌なことでしょう。しかし、次にステップアップするためには、とても大切なことです。そういう意味で、A子さんが出来ないことに悩むのは、必要なステップだといえます。

自分ができないということを「事実」として分析していきましょう。その原因は何でしょうか。「知識が古いのか」「時間が足りないのか」「判断ができないのか」など、さまざまな理由が思い当たるはずです。
もし、「知識が古い」と感じたのであれば、知識を更新する方法を考えていけばいいわけです。「自分に足りないもの」を埋める努力をしましょう。

ただし、あくまでも「事実」として受け入れることが大切です。「事実」に対し、「格好悪い」「情けない」「批判されるのではないか」などのネガティブな「感情」が生まれることは自然なことです。しかし、「感情」と「事実」を一緒に分析してしまうと、改善しなければいけない「事実」から目を背けてしまいます。その結果、「自信があるところだけ頑張ろう」のように、誤った判断をする可能性があります。
「感情」と「事実」は、頭の中で別々の箱に入れるイメージで、分けて考えるようにしましょう。
もし、自分が抱えているものが、「感情」か「事実」なのかを迷ったら、言語化や視覚化してみます。
ノートや紙に自分の悩みを書き出してみる。そうすることで、自分の悩みを客観的に見ることができるようになり、整理ができるようになります。

出来ない自分を受け入れる

抱えている問題をひとつ一つ解決していくのも方法ですが、そのままの自分を受け入れることも決して悪いことではありません。
育休から復帰して、変わったのは職場や環境だけではありません。子育てという大きな責任が増えたことで、自分自身も変化しています。その中で、埋められないブランクや保育園からの急な呼出しなど、自分の努力だけではどうにもならないこともあります。それもきちんと受けとめていきましょう。

復帰当初は「第二の新人期」と考え、正直に出来ないことを伝え、周りの人から教えてもらうこと、サポートをお願いするなど、素直にヘルプを頼むことに挑戦してみましょう。

出来ない自分を受け入れることは、「自分は、このままでいい」という身勝手な思いや現状に甘えるわけではありません。そこに「より良いものを目指す気持ち」があれば、ステップアップにつながっていきます。

また、今後も同じ様に育休を取得する人は増えていくはずです。自分の経験は、いずれその人たちの役に立つはずです。

気軽に相談できる環境を持つ

A子さんのような悩みを持つパパ、ママは少なくありません。
そんな時、同じような境遇の人の話を聞き、相談、意見交換をすることは、心が落ち着いてくるというメリットがあります。
A子さんのように、企業で働いている場合は、同じような立場や経験者の社員同士でコミュニケーションをとるのも一案です。また、同じ保育園の保護者と交流をしたり、社外で子育てをしながら働いている人のコミュニティを探してみるのもいいでしょう。全く違う環境の人だからこそ、思いもよらない意見が聞ける可能性があります。
最近は、オンラインによる自治体の相談窓口やコミュニティが増えています。また、子育ての先輩である親や友人と電話やオンラインで話してみるだけでも、気持ちが楽になるのではないでしょうか。

ただし、気持ちが落ち着いてきたら、「これから自分はどうしたいのか」「良い方向に持って行くためには、どうしたらいいのか」など、自分に対し、問題提起をすることが大切です。

まとめ

コロナ禍で、コミュニケーションが取りにくい状況が続いています。リモートワークを推奨している企業も多いのではないでしょうか。近況報告など、オンライン会議でも他愛のない話をする時間を取るなど、職場でもコミュニケーションをとる工夫やその提案などもしましょう。仕事と子育ての両立以外にも、さまざまな悩みを解決する糸口になるはずです。