テレワークの普及により、職場に出社するよりも、在宅で仕事をしている日の方が多いという人も珍しくありません。
通勤がない分、身心ともに負担が軽減され、仕事のパフォーマンスも上がるはず。しかし実際は、なかなか仕事のスイッチが入らず、生産性が落ちたり、集中力が上がらないと悩んでいる人が多いようです。

集中力をアップするための生活習慣を見直してみましょう。
生活習慣の改善は、仕事の集中力や生産性が向上するだけでなく、健康維持やスキルアップなど、さまざまな効果が期待できます。

生活習慣の改善

生活サイクルを整える

テレワークの日は、朝ギリギリまで寝ているなんてことはありませんか?
起き抜けに仕事を始めても、なかなかエンジンはかからないでしょう。また、日々、テレワークと出社が混在している人は、生活サイクルの乱れが出社日にまで影響を及ぼし、全体的な仕事のパフォーマンスが下がることにもつながります。

テレワークの日も、いつも通りの時間に起きることをおすすめします。空いた時間は朝活として、スキルアップや趣味、運動など有効に使いたいですね。

運動する

テレワークをしていると、どうしても運動不足になりがちです。意識して身体を動かすようにしましょう。
ウォーキングは脂肪燃焼のほか、生活習慣病の予防など健康増進に効果的です。さらに脳を活性化させ、ストレス解消にもなります。

また、テレワーク仕事中に集中力が落ちてきたと感じたら、簡単なストレッチがおすすめです。凝り固まった身体をほぐすとともに、気持ちのリフレッシュができます。

適切な間食

人目がない分、ついつい間食をしてしまうという人は多いようです。
もちろん、ダラダラ食べはよくありませんが、食べる内容やタイミングを考えれば、間食は、集中力の向上の味方になります。
脳のエネルギーはブドウ糖であり、仕事に集中するためには、適切なタイミングで補給することが大切です。

しかし、急激に血糖値が上がりすぎるとインシュリンが分泌され、眠気が起こります。仕事中の間食は、血糖値の上昇が穏やかなものを選びましょう。
ナッツ類、プレーンヨーグルト、ビターチョコレート、チーズなどがおすすめです。

また、ガムやグミは、噛むことで脳が活性化します。

なお、集中力を高めるイメージが強いコーヒーは、飲みすぎると集中力が低下してしまいます。適当な量はマグカップ2杯程度です。摂り過ぎに注意しましょう。

身だしなみを整える

テレワークの日は、ついつい楽な服装を選びがちになります。
出社をする時のようなきっちりした服装ではなくても、ある程度の身だしなみは意識したいものです。

少なくとも急なオンライン会議が入っても慌てない身なりを意識しましょう。襟があるシャツやジャケットを羽織るだけでもまとまるキレイ目のTシャツなどはいかがでしょうか。
きちんとひげをそったり、髪ヘアスタイルを整えるなど清潔感も大切です。

ToDoリストをつくる

ToDoリストは、仕事の漏れを防ぎ、効率よく仕事をこなせるだけでなく、進捗状況が確認できるので達成感が生れ、やる気や集中力の向上につながります。
また、ToDoリストを作ることで、タスクを覚える必要がなくなり、脳の負担やストレスが軽減されます。

集中力がアップするテクニック

ポモドーロ・テクニック

時間を管理することで、集中力が向上し、生産性を高めるのが「ポモドーロ・テクニック」です。
集中力に影響するといわれる脳内伝達物質のβエンドルフィンは、集中し始めてから15~20分に分泌のピークを迎えるとされています。そのサイクルを利用したのがポモドーロ・テクニックになります。

  1. 事前に1ポモドーロ(25分)でできる作業をリスト化。
  2. 「25分の作業+5分の休憩」を繰り返す。
  3. 4回繰り返したら、30分程度の休憩をとる。

バッチング

人間の脳はマルチタスクが苦手だと言われています。そこで、タスクの切り替えによる集中力の中断を防ぐために、同じような仕事はまとめて処理する方法が「バッチング」です。

例えば、別の作業をしていても、頻繁にメールのチェックをし、返信などの対応をしているという人は多いでしょう。
バッチングとは、高い集中力を必要とする作業中はそれに集中し、メールの返信などの異なるタスクは時間を設定してまとめて処理するという方法です。

海外の研究では、バッチングをしていないグループよりも、バッチングをしたグループの方が生産性があがったという結果も得られています。

集中力向上のお助けアイテム

手軽に取り入れられるアイテムを利用してみてはいかがでしょうか。職場では、周囲の人に配慮してください。また、メンバーに提案して、集中力の向上をチームで取り組んでも良いかもしれません。

音楽

好きな音楽を流すことで、脳には快感ホルモンのβエンドルフィンやドーパミンが分泌されます。一方でストレスホルモンのコルチゾールは減少するそうです。
その結果、やる気がアップし、作業効率の向上につながります。
また、音のマスキング効果により、生活音が聞こえにくくなるという効果も期待できます。

ただし、音楽の効果は、人と状況にもよります。そもそも音楽が嫌いな人にとってはストレスになるだけですし、逆に好きすぎて聞き入ってしまうという人は、仕事の妨げになりかねません。
また、集中力が必要な仕事をする場合は、逆に音楽が邪魔に感じることもあります。
臨機応変に音楽を仕事に取り入れてみましょう。

耳栓

音楽が苦手という人は、耳栓はいかがでしょうか。
最近は、シンプルな耳栓だけでなく、環境騒音を消し、着信音や人の声などの必要な音は聞こえる高性能なデジタル耳栓まで、さまざまなタイプがあります。

タイマー付きスマホボックス

ついついスマホに手が伸びてしまうという人は、思い切って自分からスマホを取り上げてしまいましょう。タイマー付きのスマホボックスに入れてしまえば、時間が来るまで開けることができません。

アロマテラピー

アロマテラピーとは、アロマオイルを使った自然療法です。脳の働きを高めたり、血行促進やリフレッシュ作用のほか、集中力や眠気の抑制にも役立ちます。

仕事するときにおすすめのアロマオイルは、ペパーミント、レモン、ローズマリー、ユーカリなど。
アロマオイル単体はもちろん、組み合わせて好みの香りを見つけましょう。もちろん、職場では周囲の配慮も忘れずに。


テレワークでもオフィスへの出社でも、環境に影響されずに高い成果を上げたいものです。自分に合った集中力アップ法を試してみてください。

[この記事もおすすめ!]
【脳科学者インタビュー/第2回】リモートワークにおけるワーキングメモリの使い方