仕事でストレスがたまって仕方がない。人間関係のトラブルで気持ちが休まらない。ビジネスパーソンにとって「ストレス」は多かれ少なかれ避けては通れないものでしょう。
みなさんそれぞれストレス解消法はあるかと思いますが、「食べ物」でストレスを軽減できることをご存知でしょうか?
本記事では、ストレスとは何なのか?の解説から、ストレスを軽減するための基本的な考え方、そしてストレスを軽減するためのおすすめの食べ物や栄養素、更にストレスがたまっているときには避けるべき食べ物を、管理栄養士の永吉みねこ先生監修の下、ご紹介いたします。
そもそもストレスって何?
私たちが「ストレス」と呼んでいるものは、実は3つ(3段階)に分けることができます1。
1)ストレッサー
「ストレスの原因」となっているものをストレッサーと呼びます。ストレッサーは更に3種類に分けられます。
- 物理的ストレッサー:暑い、寒い、騒音がうるさい、満員電車など
- 心理・社会的ストレッサー:人間関係(上司に怒られた)、仕事(仕事量が多い)、家庭(奥さんと喧嘩した)など
- 化学的ストレッサー:公害物質、薬物、酸素欠乏など
2)ストレス反応
ストレッサーにうまく対処することができないと「ストレス反応」が現れてきます。このストレス反応も3種類あります。
- 身体的な反応:頭痛、疲労感、体の痛みや凝り、胃の痛み、眠りが浅くなる など
- 行動的な反応:暴飲暴食、飲酒量や喫煙量の増加、仕事でミスが増える など
- 心理的な反応:イライラする、不安になる、気分が落ち込む、元気が出ない など
3)ストレス関連疾患
ストレス反応が出ていても何も対処せず “見て見ぬふり” をしていると、不眠症やうつ病、摂食障害やアルコール依存症といった病態や疾患に進行してしまうことがあります。
ストレスを軽減するためには?
すなわち、ストレスを軽減するためには以下2つを考える必要があります。
- ストレッサーを取り除く
- ストレス反応に対応したケアをする
1)ストレッサーを取り除く
ストレッサーは人によって異なります。「暑さ」は人によってはすごくストレスに感じますが、全然ストレスにならない人もいますよね?
つまり、万人が「〇〇をすればストレッサーを取り除くことができる」という方法はありません。
暑さがストレッサーになる人は、普段から小型扇風機を持ち歩いたり、冷たい飲み物をこまめに飲むといった対処法になりますし、仕事量の多さがストレッサーであるという人は、上司や同僚に相談して仕事量の調整が必要になります。
自分にとってのストレッサーは何なのか?を見極め、そのストレッサーを取り除くための対処法を実践してみましょう。
2)ストレス反応に対応したケアをする
まず「この症状や行動はストレス反応かもしれない」と気づくことができるか、が非常に重要なポイントとなります。
前述した3種類のストレス反応を見て、もし当てはまる症状があれば、それはもしかしたらストレスが原因で起こっている反応(=症状)かもしれません。
ストレス反応に気づいたら、その症状に合わせたケアを行う必要がありますが、数あるケアの中で、今回は「ストレスの軽減におすすめの食べ物・栄養素」を紹介します。
ストレスを軽減するおすすめの食べ物・栄養素
ストレスの症状に対応した食事をすることがポイントですが、一部の栄養素はストレスにより必要量が高まると言われています。
そのため、下記のような栄養素を意識して摂る必要があります。
1)たんぱく質
体内のたんばく質は絶えず分解と合成を繰り返していますが、ストレスがかかると分解が通常よりも活発に行われます。その為、たんぱく質は意識して摂る必要があります。
たんぱく質を摂るためのおすすめの食べ物はこちら。
- 肉類
- 魚類
- 卵
- 大豆製品
例えば、納豆はたんぱく質に加えて、下記で紹介するビタミンB2やマグネシウムも豊富に含みます。ビタミンB1が豊富な玄米や発芽米に乗せて「納豆ごはん」で食べると効率よくストレスケアに良い栄養素を摂ることができます。
2)ビタミンB1、B2
ストレスに対して体は自分の身を守ろうと、防御反応を起こします。防御反応が起こると副腎からホルモンの分泌が活発になり、ビタミンB1、B2が消耗されやすいと言われています。
ビタミンB1、B2を多く含む食べ物はこちら。
- 玄米・発芽米
- 豚肉
- レバー
- うなぎ
- 納豆
- 乳製品
たんぱく質とビタミンB1が豊富な豚肉を使用した「豚汁」は、下記で紹介するビタミンCが豊富な野菜もふんだんに食べることができるため、1杯でバランス良く栄養素を摂取することが可能です。
3)ビタミンC
ビタミンCもビタミンB1やB2同様に副腎からのホルモンで消耗されてしまいます。
ビタミンCを豊富に含む食べ物は以下の通り。
- パプリカ
- モロヘイヤ
- キウイ
- 柿
ビタミンCは水に溶けやすいビタミンですが、上記で紹介した豚汁(もしくは味噌汁)で摂取すると、汁ごと食べることが可能になるため効率的です。
4)カルシウム、マグネシウム
ストレスがかかると、カルシウムやマグネシウムの尿への排出が高まるとされています。
カルシウムを摂取するには以下の食べ物がおすすめです。
- 小魚
- チーズ
- 乳製品
- モロヘイヤ
たんぱく質、ビタミンB2、カルシウムが豊富なヨーグルトを食べる際にはぜひフルーツを入れて「フルーツヨーグルト」で食べるのがおすすめです。キウイやバナナといったフルーツにはビタミンCが豊富なため、ストレスケアに良い栄養素がたっぷりです。
プレーンヨーグルトにフルーツを入れて、甘さは砂糖ではなくはちみつやメープルシロップで調節するのが◎です。
マグネシウムを摂取するおすすめの食べ物はこちら。
- あさり
- しらす
- 納豆
- 油揚げ
ストレスケアには避けたほうが良い食べ物
ストレスがある時に避けた方が良いのは「香辛料がきいた辛い食べ物」や「冷たいものなどの刺激物」です。
ストレスにより胃腸の働きが悪くなっていることもあるため、胃腸の刺激になるものは避けましょう。脂っぽいお食事や、アルコールも避けた方がベターです。
食事に少しの工夫をして、上手にストレスセルフケアをしてみてくださいね。
まとめ
「食事でストレスケア」をテーマに、ストレスそのものについての解説から、ストレスを軽減するおすすめの食べ物、更には避けるべき食べ物をお伝えしました。
毎日一品だけでも、ストレスを軽減する食品を含むものを食べてストレスマネジメントができると、ワークコンディションが整い、仕事の生産性も向上していくことでしょう。
参考文献
- ストレスとは:ストレス軽減ノウハウ|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト – こころの耳. Available at: https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh001/ (Accessed: 08 May 2023).
永吉みねこ
管理栄養士
「献立に悩む女性のための出張料理&栄養レッスン」主催。 簡単・おいしい・栄養◎なレシピをモットーに1,000以上のレシピを提供。
レッスン受講者は300名以上。女性セブンや各種WEBへのレシピ記事提供、栄養カウンセリングも行う。
献立レッスン詳細はこちら>>