リフレッシュの仕方もいろいろあるのですが、ここでは五感を切り口にリフレッシュ方法を紹介します。五感とは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚です。まずは、目からの視覚で読書です。

インド文学に触れて、いつもと違う刺激を受ける

インド文学についてご紹介です。インドのカレーはイメージできますが、インド文学ってどんなものでしょうか。インド哲学にも通じる、インド文学について垣間見ませんか。

マハーバーラタとラーマーヤナは、サンスクリットで残された古代インドの二大叙事詩です。

今なお広くインドの人々に親しまれているもので、インド文化および、東南アジア各地のさまざまな面にその影響をみることができます。

インドの民衆に愛されている『マハーバーラタ』

マハーバーラタは、世界最大の抒情詩で「昔々あった話」といわれ、「第五のヴェーダ」とも呼ばれています。

その根幹にある物語は、はるか遠い昔に起こった部族間の争いの物語です。

それが紀元前四世紀頃から長い年月のあいだ吟遊詩人たちによって口頭で語り伝えられました。内容は、主人公となる五人の英雄的な王子の苦難に満ちた活躍の物語であり、さまざまな出来事の由来、神々や人々の事蹟、各地に伝承される説話などが、補足的にそれにつけ加えられて種々の枠物語を形成しています。

さらに中心となる物語を説明するための哲学的・神学的説明がつけ加えられて、結果的には四世紀頃に現存の巨大な抒情詩となったのです。

マハーバーラタは、「ここにはあらゆるもの・ことが語られている」と言われるように、古代インドの百科事典と言っても過言ではなく、クシュリナ(ヒンドゥー教の神)に対する絶対帰依を説く一神教的な色彩とヴィシュヌ信仰による壮大な宇宙観が付け加えられたことで、インドの民衆に広く受け入れられることになったのです。

各地にマハーバーラタの主題や挿話を取り上げた演劇や舞踊が残るのもそのためです。

東南アジアで観劇したことがあるかも『ラーマーヤナ』

ラーマーヤナは、「最初の詩人」と称されるヴァールミーキの作とされ、「最初の詩文学」と呼ばれています。

インドにおける文学作品の起源としても地位をしめているのです。

内容は、王子ラーマの波乱万丈の生涯を描く物語で、善なる王の行いは理想化されて語られており、神格化され信仰の対象となったのです。

また、物語は勧善懲悪がはっきりしているため民衆に受け入れやすかったと想像できます。インドや東南アジアの各地においても古くから語り継がれ、叙事詩や演劇として残されています。

たとえば、十六世紀後半のトゥルシー・ダースがヒンディー語で残した『ラーム・チャリト・マーナス(ラーマ王子の行いの湖)』は現在でも北インドのヒンデゥー教徒が日々の勤めのようにして朗詠する抒情詩であり、一般に「ラーマーヤナ」と呼ばれています。

タイでは、サル将軍ハヌマーンが活躍するタイ版の「ラーマーヤナ」はタイ国王ラーマ一世(1782~1809)ら歴代の国王の手になる『ラーマキエン』がもとになっているのです。

そして、インドネシアには、十一世紀に書かれたジャワ古典詩の最高傑作とされる『ラーマーヤナ・カカウィン』があります。

また代表的演劇ジャンルとして知られているワヤンは、語源が影を意味しており、影絵が主流となっていますが、ほかにも人形劇、舞踊劇、仮面劇などさまざまな種類があります。

インドネシア・ジャワ島とバリ島の影絵や人形劇、マレーシア・クランタン州の影絵などが知られています。

各地にさまざまなラーマーヤナが伝わっているのですが、その原型は紀元前数世紀に成立し、二世紀頃に現存のかたちになったと考えられています。現代でも、人々を魅了する抒情詩なのです。

是非、こんなインド文学にも触れてみてはいかがでしょうか。