「肩こり」の記事で、筋肉の凝りを解消するには「ほぐす」「伸ばす」「活性化させる」の3ステップを踏むことが大切です、というお話をしました。

今回は「腰痛」がテーマです。腰の凝りを解消するためにも、基本の3ステップを行うことが重要になります。具体的なエクササイズをお伝えしていきます。

1)ほぐす

ずっと座りっぱなしの状態でいると、腰の筋肉は常に伸ばされた状態となっています。常に伸ばされている筋肉は、伸びきってしまった輪ゴムのように、いざ縮めようと思ってももう力を発揮することができません。

腰自体の筋肉は、ほぐすよりも活性化させて収縮をさせることによって、縮める力を呼び戻してあげる必要があります。

では、腰の凝りを解消するためにほぐすべき筋肉はどこなのでしょうか。

それは、腰と反対側にある股関節の前側(付け根)です。

ずっと座った状態でいると、股関節の前側は縮んだ状態になっています。腰の凝りを引き起こしているのは実は、この前側の筋肉であることが多いのです。腰痛解消のためにほぐすべき部位は「股関節の付け根」と「前もも」です。

ストレッチポールやフォームローラーのようなツールを持っている方は、そちらを利用すると簡単にほぐすことができます。

股関節の付け根は、骨盤前側の出っ張っている骨の真下(ズボンのポケットあたり)にある筋肉をほぐしていきます(上左写真参照)。出っ張っている骨の下あたりに当ててゴリゴリしてみましょう。あまりにも痛い場合は、ゴリゴリせずに当てておくだけでもほぐれていきます。

もしツールがなければ、麺棒などでもほぐすことができます。座った状態で、骨盤の出っ張っている骨の下あたりに麺棒を当ててゴリゴリします(上右写真参照)。

左右30秒ほど行いましょう。

続いて「前もも」です。前ももはとても強い筋肉なので、この筋肉が凝り固まってしまうと骨盤の動きが悪くなり、結果として腰に負担がかかってしまいます。

ストレッチポールなどのツールがあれば、両ひじを地面について、両脚の前ももで乗っかって身体を前後に動かしてゴロゴロしましょう(上写真左参照)。膝のお皿の上あたりから股関節の付け根あたりまでをいったりきたりします。

こちらも、ポールがなければ麺棒などを使いましょう。軽く押しながら、股関節の付け根から膝に向かってほぐしていきます(上右写真参照)。レギンスなどを履いた状態で行うと、麺棒が滑りやすくなるのでほぐしやすくなります。

左右30秒ほど行います。

2)伸ばす

長時間座っていたことで凝り固まっていた股関節前側をほぐしたあとは、その部位を伸ばすことで、筋肉の長さをニュートラルの状態に戻していきます。元の長さに戻すことで、腰周りの筋肉を「活性化させる」エクササイズをより効果的に行うことができるようになります。

まずは横向きで行うストレッチから(上左写真参照)。天井側の股関節と膝をそれぞれ90度に曲げた状態で、膝から下を地面におきます。地面側の足を手で掴み、ゆっくりと後ろに引いて前ももを伸ばしていきます。

天井側の股関節をしっかりと曲げておくことで骨盤が安定し、前ももを伸ばすときに腰が過度に反ってしまう事を防ぐことができます。

左右30秒〜1分ほど行います。

続いて、より股関節の付け根を伸ばすために、椅子を使ったストレッチを行います(上右写真参照)。片方のお尻は椅子に乗せた状態で、前足は膝の真下あたりに置きます。逆側の足を後ろに引いて、膝を軽く曲げた状態で脚を伸ばし、股関節付け根・前側をストレッチします。腰を反らさないように注意しましょう。

股関節の付け根にストレッチを感じたら、そのポジションをキープしながら、ストレッチをしている側の腕を天井に向かって伸ばし、軽く逆サイドに側屈させます。逆側の手を椅子に乗せて身体を支えましょう。

ゆっくり呼吸をしながら、股関節前側から体側全体を伸ばしていきます。

こちらも左右30秒〜1分ほど行いましょう。

3) 活性化させる

最後に行うのが「活性化させる」です。ここまでは股関節前側にフォーカスしてきましたが、活性化させたいのは腰周りの筋肉。ずっと座った状態で伸びきった腰の筋肉を収縮させて、筋肉の機能を呼び戻していきます。

まずは「キャット&カウ」からはじめます。ヨガのポーズの1つとして知っている人もいるかもしれません。

四つ這いになり、両手は肩の真下、両膝は股関節の真下にそれぞれ置きます。息をゆっくりと吐きながら背骨を丸めていきましょう。背中を上から引っ張られているようにイメージをしながら行います(上左写真参照)。

続いて、息をゆっくり鼻から吸いながら、お腹をリラックスさせて、逆に背骨を反っていきます。頭と尾てい骨が天井から引っ張られているようなイメージで行うと良いでしょう。首に力が入りすぎないように注意します(上右写真参照)。

ゆったりとした呼吸に合わせながら、10回ほど行います。

もう1つ行いたい活性化エクササイズが「グルーツブリッジ」です。腰からお尻にかけての筋肉を鍛えるエクササイズです。

仰向けになって両膝を立て、両腕は身体の横に置きます。そこから、かかとで地面をしっかりと押しながら、お尻を持ち上げていきます。1秒で持ち上げて、1秒上で静止し、1秒かけて地面に下ろしましょう。

10〜15回ほど行うと、腰からお尻の筋肉がしっかりと活性化されます。

まとめ

いかがだったでしょうか?ぜひこれらの3ステップを、家でテレビを見ながら、お風呂上がりや寝る前などの時間で行ってみてください。きっと腰回りが軽くなるはずですよ。