「血圧がちょっと高めですね」と健康診断で言われたものの、特に自覚症状もないからと、対策せずにそのままにしていませんか?
高血圧は、日本人の3人に1人が抱える “静かな健康リスク”です1。放っておくと、動脈硬化や心疾患、脳卒中など、命に関わる重大な病気の引き金になる可能性があります。
病院に行けば、高血圧を改善する薬を処方されるかと思いますが、多くの場合、薬に頼る前にできることがあります。それが「食事」の見直しです。
とはいえ、「高血圧を改善するためには食事を見直す必要があることはわかっている」「忙しくて食事にまで気が回らない」、そんなビジネスパーソンが多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな毎日忙しく働くビジネスパーソンでも実践しやすい食事ルールを解説します。
毎日する食事をほんの少し工夫するだけで、高血圧は改善します。忙しい毎日でもできる、高血圧を “食べて” 整える方法やヒントをお伝えします。
高血圧とは?気づかぬうちに進行する “静かなリスク”

高血圧とは、血液が血管を押し流す力(=血圧)が慢性的に高い状態のことを指します。
この状態が続くと、血管に常に強い圧力がかかり、少しずつダメージが蓄積します。そのダメージが、やがて動脈硬化を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞など、命に関わる重大な疾患のリスクが高まります。
上記しましたが、日本では成人の約3人に1人が高血圧と言われており、特に40代以降のビジネスパーソンでは増加傾向にあります。
高血圧でやっかいなのは、ほとんど自覚症状がないということです。痛みや不調を全然感じないまま静かに進行するため、高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれています。
つまり、「まだ症状がないから大丈夫」と油断するのは実は危険です。健康診断で血圧についてアドバイスを受けた方や、今はまだ血圧に問題はない方も、血圧の健康を意識した食生活を “今から” 始めることが大切です。
“食べ方”を変えるだけで血圧は下がる 〜ポイントは「塩分」〜

高血圧の改善について、「血圧を下げるには運動をしなきゃ」や、「まずは病院に行って薬をもらわないと」などと考える方が多いのですが、実はもっと身近なところに、改善のヒントがあります。それが、“食べ方” の見直しです。
高血圧が起こる大きな要因の1つは、日々の食生活に含まれる「塩分」の摂りすぎです。
日本人の食塩摂取量は依然として多いと言われ、特に外食やコンビニ食品が中心になりがちなビジネスパーソンは、知らず知らずのうちに、推奨量を大きく超えてしまっているケースも珍しくありません。
よって、この「塩分(ナトリウム)」の摂取量を意識して食生活を考えるだけで、血圧を下げる効果が期待できます。
また、ポイントは「頑張って減塩」するのではなく、ちょっとした工夫で「自然と減らしていく」ことです。
調味料の使い方や、食材の選び方を工夫するだけで、「ちょっと味薄いな〜、もっと濃い味にしたいな〜」とは感じずに、塩分を抑えた食事をすることが可能になります。
1日の目標塩分量とは?
厚生労働省が2020年に発表した日本人の食事摂取基準2では、生活習慣病を予防するために、男性は1日7.5グラム未満、女性は1日6.5グラム未満が目標となります。
また、すでに高血圧と診断を受けている方や、高血圧予備軍の方は、日本高血圧学会によって「1日6グラム未満」が推奨されています3。
6グラムってどれくらいなのか?あまりイメージがわかない方も多いかもしれませんが、思っている以上にすぐ達してしまう量のため、ぜひ塩分の摂取量を意識して生活してみましょう。
高血圧対策のための食事ルール5選
ではここから、毎日忙しく働くビジネスパーソンでも今日からすぐに取り入れられる、高血圧予防・改善のための食事ルールを5つご紹介します。
外食やコンビニが中心でも、選び方と “ちょっとした意識” で、血圧はしっかり整えられます。
1)出汁・香味野菜・スパイスの使用で、塩分控えめでも美味しく食べる

「塩分を減らす=味が薄くて物足りない」と思いがちですが、出汁や香味野菜、スパイスを使えば、塩分が少なくても美味しく食べることができます。
- みそ汁は、出汁の旨味を活かして、味噌の量は控える
- 塩分で味付けをするのではなく、ネギやしょうが、しそ、にんにくなどの香味野菜を添える
- こしょうやカレー粉といったスパイスの使用で風味を足す
「減塩」によって食の楽しみを減らさずに、むしろ豊かにする工夫が、塩分を減らした食事を長く続けるコツです。
2)カリウムを意識して摂取する

カリウムには、余分に摂取した塩分(ナトリウム)を体外に排出する働きがあり、結果として塩分の摂りすぎが解消され、血圧を下げる作用が期待できます。
カリウムは下記のような食材に多く含まれます。
- 芋類:さつまいも、じゃがいも、里芋、長芋
- 豆類:納豆、枝豆、小豆(ゆでたもの)
- 海藻類:ひじき、もずく、わかめ、のり
- 野菜(生でも加熱でもOK):ほうれん草、小松菜、トマト、ブロッコリー、アボカド
- 果物:バナナ、キウイ、メロン、りんご、みかん
芋類は、皮付きで調理できるとより多くのカリウムが残存します。また、ゆでるとカリウムが流れ出てしまうため、蒸す・焼く調理がオススメです。
高血圧対策として「減塩+カリウムの摂取」が意識できるとかなり効果的です。
3)お惣菜や加工食品を購入する際は「成分表示」をチェック

コンビニやスーパーで食べ物を購入するとき、あなたは栄養成分表示を見るでしょうか?
減塩を目指す上で、購入する食品にどれくらいの食塩が含まれているかをチェックするためには、栄養成分表示の「ナトリウム(mg)」か「食塩相当量(g)」の項目をチェックしましょう。
ハムやソーセージ、練り物、インスタント食品、お惣菜などには、外見には現れない見えない塩分が多く含まれています。買う前にラベルを見る習慣をつけましょう。
ちなみに「ナトリウム(mg) × 2.54 ÷ 1000」の式にナトリウムの量を当てはめて計算すると、食塩相当量(g)に換算できるため、ぜひお試しください。
4)コンビニでは「組み合わせ選び」でバランスを取る

1日中忙しく働くビジネスパーソンは、食事がコンビニ食になることも珍しくないでしょう。ですが、工夫次第では、コンビニ食でも健康的な食事にすることが可能です。
コンビニでの食品の選択のポイントは「減塩」と「野菜の追加」です。
- 「主食(炭水化物)」「主菜(たんぱく質)」「副菜(ビタミン・ミネラル)」の3品を意識して選択する
- 塩分多めと感じる場合は、野菜やカリウムを豊富に含む食品をプラスする
- 特に塩分が多いカップ麺、揚げ物、パスタ類は食べる頻度を抑える
塩分を “控える” 意識はもちろん大事ですが、一品 “プラス” することで栄養バランスが整い、高血圧対策として有効な食事になっていきます。
5)外食では「スープは残す」「味付け控えめ」を習慣に

ラーメン屋さんでラーメンを食べるとき、あなたはスープも全部飲み干しますか?確かに美味しいのでたくさん飲みたくなる気持ちもわかりますが、ラーメン一杯を全部食べると、それだけで約6グラムの塩分(=1日の塩分摂取量)に達してしまいます。
その他、チキン南蛮のタルタルソースや、ハンバーグのデミグラスソース、美味しいドレッシングなど、外食で出てくる食べ物にかかっている「タレ」や「ソース」に多くの塩分が含まれていることが多いです。
- スープは半分までにする
- ドレッシングは別容器でもらい、自分でかける
- ソースは「かける」のではなく「つける」
好きなものは食べつつも、ちょっとした意識で塩分の摂りすぎを防ぐことができます。
まとめ 〜少しの工夫が未来の健康を守る第一歩〜
高血圧は、気づかないうちに進行し、将来的に深刻な疾患へとつながる可能性がある “静かなリスク” です。しかし、日々の食事に少しだけでも意識を向けるだけで、血圧の健康は大きく変わります。
今回ご紹介したように、出汁や香味野菜を活用した味付け、カリウムを多く含む食材の積極的な摂取、コンビニ食・外食でのちょっとした選び方・食べ方の工夫など、どれも忙しい日々の中でも無理なく実践できることばかりかと思います。
全部でなくても良いので、よりあなたにとって無理なく実践できそうなものを選んで、1つだけでも生活に取り入れていただけたらと思います。
“食べること”は毎日行う習慣です。毎日繰り返される習慣だからこそ、少しの変化や意識だけで、大きな変化を生みます。高血圧と上手に付き合いながら、より健康で、高いパフォーマンスを発揮し続けられる身体を作っていきましょう。
参考文献・資料
- 特定非営利活動法人日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン|日本高血圧学会. Jpnsh.jp. Published 2019. https://www.jpnsh.jp/guideline.html
- 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」. Published December 24, 2019. Accessed June 15, 2025. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
- 特定非営利活動法人日本高血圧学会. 減塩・栄養委員会|日本高血圧学会. Jpnsh.jp. Published 2025. Accessed June 15, 2025. https://www.jpnsh.jp/com_salt.html
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