「見た目をよくしたい」「健康になりたい」など、様々な理由でダイエットを始めたものの、上手くいかなかった、、、という経験をしたことがある方は多いかと思います。

糖質制限、夜20時以降食べないダイエット、遺伝子検査を利用した減量など、巷では数えきれないほどのダイエット法が存在しますが、果たしてどれが一番良いのか、どれが自分に合うダイエット法なのかがわからない、という方も多いでしょう。

そんな中で、ダイエット効果がエビデンスとして明らかとなっている3つの飲み物をご存知でしょうか?それは「水」「緑茶」「コーヒー」です。

逆に「砂糖入り飲料(清涼飲料水、ジュース、コーヒー飲料など)」の摂取量が増えれば増えるほど体重が増加してしまう、というエビデンスも存在します。

ダイエットをしたい人も、そうでない人も、毎日必ず行うのが「水分補給」です。その水分を摂取するための飲み物を、砂糖入り飲料から上記した3つの飲み物に “置き換える” だけで、ダイエットの効果(=減量効果)が期待できます。

本記事では、具体的なエビデンスを紹介しながら、ダイエット中に飲むべき3つの飲み物(=水、緑茶、コーヒー)について、なぜダイエット効果があるのかや、1日にどれくらいの量を飲むべきなのか?について解説していきます。

ダイエット中に飲むべきではない飲み物「砂糖入り飲料」

2019年に発表されたレビュー1では、砂糖入り飲料とは「冷たい、温かいは関係なく、砂糖が添加された飲み物」と定義されており、具体的な砂糖入り飲料として「清涼飲料水」「炭酸飲料」「スポーツドリンク」「栄養ドリンク(エナジードリンク)」「ジュース(果汁飲料)」「砂糖入りの紅茶やコーヒー飲料」が示されています。

このレビューでは、普段から習慣的に砂糖入り飲料を飲んでいる人は、子ども・大人に関係なく、体重の増加が見られる(=肥満リスクの増加)とともに、糖尿病や心疾患、虫歯や歯周病リスクの増加も明らかになった、と示されています。

2013年に発表された別のレビュー2でも、子どもも大人もどちらも、砂糖入り飲料を習慣的に摂取することで体重増加や肥満のリスクが高くなることを報告しています。

もしあなたが体重を増やしたくない、もしくはダイエットしたいと考えている場合は、まず砂糖入り飲料の摂取をやめることを検討しましょう。

自分の生活を改めて振り返ってみて、普段たくさんの砂糖入り飲料を摂取しているなという方は、いきなりゼロにするのは大変なので、コップ一杯分だけでも減らすことにチャレンジしましょう。

ダイエット中に飲むべき3つの飲み物

それでは、ダイエット中は何を飲めば良いのでしょうか?科学的にダイエット効果が期待できるとされている3つの飲み物について解説していきます。

ダイエットに効果的な飲み物①「水」

ダイエット中に飲むべき飲み物として、多くの方がまず思い浮かぶのが「水」かと思いますが、実際に、砂糖入り飲料の代わりに水を飲むことは、効果的なダイエット方法として推奨されています。

ハーバード大学院から2013年に発表された研究3によると、1日1杯だけでも砂糖入り飲料を水に置き換えることで、体重が減少したことを明らかにしました。

この研究では水の他にも、コーヒーや紅茶、人工甘味料が入った飲料、低脂肪牛乳でも置き換えを実施し、一番体重の減少が認められたのが水とコーヒー(下記で詳しく解説)だったと示しています。

2012年に発表された、過体重もしくは肥満の318名の男女を対象とした別の研究4では、カロリーを含む飲料を、水(もしくはカロリーを含まないダイエット飲料)に置き換えるだけで、6ヶ月間で約2〜2.5%の体重の減少が見られたことを報告しています。

甘い飲み物や、何かカロリーを含む飲料が飲みたくなった時、まずは1日1杯だけでも水に置き換えてみましょう。確実に体重の増加を予防し、減量に近づいていくはずです。

ダイエットに効果的な飲み物②「緑茶」

ダイエット中に飲む飲み物として、体重の減量効果があると多くの研究によって示されているものの1つが緑茶です。

2020年に発表された、肥満者1377名を被験者としたレビュー5では、1日あたり500mL以上の緑茶を12週間以上飲み続けることで、緑茶を飲まなかったグループと比較して、体重の減少や体脂肪率の減少が見られたことを報告しています。

また、ダイエット効果ではないですが、2019年に日本の国立がん研究センターから発表された研究6には、緑茶の摂取(1日200〜800mL)によって、心臓系、脳血管系、がん、呼吸器系の病気・病態すべての死亡率が低下することを示しています。

2020年のレビューにも記載がありますが、定期的な運動やバランスの良い食事はダイエットにおいて不可欠ですが、それに加えて、普段飲む飲み物を緑茶(冷たくても温かくても良い)にすることで、ダイエットはもちろん、多くの病気リスクの低下にも効果的です。

緑茶のダイエット効果や健康効果は「ポリフェノール」による効果が大きいと言われているため、ポリフェノールを多く含むベリー系のフルーツやココア、トマト、ごぼう、ほうれん草、ブロッコリーといった食品を積極的に摂取するのも良いかもしれません。また、下記しているコーヒーもポリフェノールを豊富に含みます。

もし緑茶が好きな方であれば、1日500mLのペットボトル1本くらいであれば無理なく飲めるのではないかなと思いますので、検討してみてはいかがでしょうか。

ダイエットに効果的な飲み物③「コーヒー」

2019年に発表されたコーヒーと肥満の関係に関するレビュー7によると、コーヒーを摂取することで体重の減少やウエスト周囲径(腹囲)の減少効果が期待できることを示唆しています。

また、コーヒーはもちろん緑茶にも含まれる成分「カフェイン」に減量効果があることを示す研究も数多く存在します。

少し古いですが、1995年に発表された研究8によると、カフェインの摂取によって安静時代謝(=身体活動をしていないときのエネルギー消費)が増えることを示しています。

国際栄養スポーツ学会が2018年に発表したレビュー9では、カフェインの摂取によって、運動時のエネルギー消費量を増加させる効果があることを明らかにしました。

コーヒーや緑茶にはカフェインが含まれているため、これらを飲むことで、普段の生活中のエネルギー消費量が増える可能性があるとともに、運動をすると、同じ運動でもカフェインの摂取をしない場合よりもエネルギー消費量が増加する可能性があります。

カフェインの過剰摂取は副作用(疲労感の増加、頭痛、血圧の上昇、不眠など)があるため注意が必要です。1回のコーヒーの摂取量は缶コーヒー1本程度(約200mL)にしましょう。

コーヒーのダイエット効果はカフェイン、ポリフェノールの他に、クロロゲン酸と呼ばれる成分も関わっており、うまく利用することで、緑茶と同様、ダイエット効果だけでなく健康効果も期待できます。

コーヒーの効果については「コーヒーの意外な効果」の記事でも解説していますので、ぜひこちらの記事もお読みください。

まとめ

ダイエット効果が期待できる3つの飲み物について解説しました。

緑茶とコーヒーはどちらもカフェインを含むことから「利尿作用」が働くため、多くの水分が尿として出ていきやすくなります。一緒に水も飲んで、特に暑い夏は脱水状態とならないように注意しましょう。

今回紹介した水、緑茶、コーヒーは、ダイエットはもちろん、健康にも良いとされている飲料ですので、ぜひうまくご活用いただければと思います。

参考文献・資料

  1. von Philipsborn P, Stratil JM, Burns J, Busert LK, Pfadenhauer LM, Polus S, Holzapfel C, Hauner H, Rehfuess E. Environmental interventions to reduce the consumption of sugar-sweetened beverages and their effects on health. Cochrane Database of Systematic Reviews 2019, Issue 6. Art. No.: CD012292. DOI: 10.1002/14651858.CD012292.pub2
  2. Malik VS, Pan A, Willett WC, Hu FB. Sugar-sweetened beverages and weight gain in children and adults: a systematic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr. 2013;98(4):1084-1102.
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  4. Tate DF, Turner-McGrievy G, Lyons E, Stevens J, Erickson K, Polzien K, et al. Replacing caloric beverages with water or diet beverages for weight loss in adults: main results of the Choose Healthy Options Consciously Everyday (CHOICE) randomized clinical trial. Am J Clin Nutr. 2012;95(3):555-563.
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