毎日多忙なビジネスパーソンにとって、健康的な体をキープしていくことは、ワークパフォーマンスを維持する上で非常に重要です。

そんな中、身体に内臓脂肪が溜まった状態は様々な健康上のリスクを高めてしまうため、内臓脂肪が溜まることを予防したり、効果的に減少させる対策を行っていくことが必要になります。

本記事では、日常生活の中で簡単に取り入れられる、内臓脂肪を減らすアプローチを厳選して7つ紹介します。

「そんな時間はない…」と考える多忙なビジネスパーソンでも習慣にしやすい方法をお伝えしますので、ぜひ1つでも実践して、健康的で活動的なライフスタイルを手に入れましょう。

3種類ある脂肪それぞれの役割と特徴

一言に「脂肪」といっても、ヒトの体につく脂肪には、つく場所とその役割の違いで3種類に分けられます。

1)皮下脂肪

皮膚のすぐ下につく脂肪で、「親指と人差し指でつまめる脂肪」とも言われます。

一度皮下脂肪としてついてしまうとなかなか減らせないと言われるため、皮下脂肪はできるだけつけたくないと考える方が多いですが、生きる上で重要な役割を果たしています。

  • 防寒・体温の維持
  • 体表への圧力や刺激の緩和
  • ビタミンDの生成
  • 女性ホルモン(エストロゲン)の合成

皮下脂肪は全身のどこにでもつく脂肪ですが、特に「腰〜太もも」にかけてつきやすいため、そのシルエットから「洋ナシ型肥満」とも呼ばれます。

2)内臓脂肪

内臓の周りや、腸を固定する膜(=腸間膜)につく脂肪を言います。内臓脂肪はお腹の中にたまっていくため、過剰にたまってしまうとそのシルエットから「りんご型肥満」と呼ばれます。

内臓脂肪の増加は様々な病気・病態のリスク(高血圧、動脈硬化、糖尿病、がん、認知症など)を高めるため悪者とされがちですが、「内臓をあるべき場所に固定する」という大切な役割があります1

内臓脂肪があまりにも少なすぎると内臓がしっかりと固定されないため、胃下垂や腸下垂、遊走腎といった内臓下垂が起こりやすく、内臓の位置が変わってしまうことで各臓器の機能がうまく果たせなくなり、不調につながることがあります。

3)異所性脂肪

皮下脂肪や内臓脂肪はそれぞれそこにたまる意味や役割があるのに対して、脂肪がつくべきではない場所(筋肉、肝臓、すい臓など)についた脂肪のことを異所性脂肪と呼びます。

内臓脂肪と同様、異所性脂肪が過剰にたまると健康に悪影響があるとともに、こちらはたまっても外見に変化が現れにくいため「隠れ肥満」の原因となります。

内臓脂肪の特徴と増えてしまう要因

脂肪には3種類あることがわかったところで、では内臓脂肪にはどういった特徴があるのか?内臓脂肪が増えるとなぜ良くないのか?何が要因で内臓脂肪は増えてしまうのか?といった疑問にお答えします。

1)内臓脂肪はすぐたまってしまうが減るのも早い

皮下脂肪と内臓脂肪を比べると、皮下脂肪は、本当にエネルギーがなくなってしまったときの「緊急用保存エネルギー」のようなイメージで、なかなかエネルギーとして使わせてくれないのですが、内臓脂肪は「ちょっとエネルギーが足りないな」くらいですぐに内臓脂肪から中性脂肪を取り出してエネルギーとして使われます。

食べすぎたり、運動不足や生活の中で身体を動かす時間が減ると、内臓脂肪はすぐにたまってしまいますが、3種類ある脂肪の中で、エネルギー源としてまず使われるのが内臓脂肪と異所性脂肪となるため、少し食事の量や内容を見直したり、動く量を増やすだけで、すぐに減っていきます。

「ちょっと今日は食べすぎたな…」「今日は一日中座りっぱなしで仕事してたな…」と感じたら、すぐに次の日で調整することで、内臓脂肪のたまり過ぎを防ぐことができます。

2)過度なストレスが内臓脂肪を増やす

強いストレスを感じると、ストレスホルモンとも呼ばれる「コルチゾール」が分泌されます。コルチゾールが分泌されると、筋肉や肝臓に蓄えられているブドウ糖を取り出して、それをエネルギー源として利用して、そのストレスと戦っていきます。

一見、それならエネルギーをたくさん使って痩せられそう!と感じる方もいるかもしれませんが、強いストレスを感じることが慢性的、長期的になってくると、脳はエネルギーが大量に必要だから蓄えておかないと!と感じ、コルチゾールが内臓脂肪を増やすように働き始めると言われています2

また、ストレスが増えてコルチゾールが増えると、筋肉の発達や脂肪燃焼を促す「テストステロン(別名:男性ホルモン)」が減ってしまうこともわかっています。

テストステロンが減ってしまうと、筋肉が増えづらくなったり、筋肉が減ってしまいやすくなったり、脂肪の燃焼も減ってしまうため、内臓脂肪がたまりやすくなってしまいます。

しっかり身体を動かして食事もコントロールしているのに内臓脂肪が減らないという方は、もしかしたら過度で慢性的なストレスが内臓脂肪を増やしている可能性があります。

3)満福ホルモン「レプチン」が出にくくなる

食事をして、十分なエネルギー(カロリー)が摂取できると、脂肪細胞から「レプチン」と呼ばれるホルモンが分泌されて、脳に「もう満腹です。もう食べなくて良いですよ」と伝えられます。

ですが、内臓脂肪が増えていくと、レプチンからの満腹メッセージがうまく脳に伝わらなくなると言われています2

レプチンのメッセージが伝わらないと「満腹」を感じにくくなってしまうため、食べ過ぎが起こりやすくなり、内臓脂肪が増えやすい習慣ができてしまいます。

4)便秘や頻尿、腰痛といった不調を引き起こす

内臓脂肪はお腹の中にある様々な臓器につくため、内臓脂肪が過剰に増えると臓器を圧迫してしまいます。

内臓脂肪によって腸が圧迫されると、食べ物を消化する際に腸がしっかりと動けなくなってしまうため、食べ物がうまく消化・吸収できずに腹痛や下痢が発生したり、食べ物を消化しながら肛門の方までうまく送っていくことができなくなることで便秘になってしまうことがあります。

女性はこれに加えて、下腹部に存在する子宮や卵巣の周辺にも内臓脂肪がついてしまうことも、便秘の要因となるようです。

また、「夜中、トイレに行きたくなって目が覚めてしまう」という方は、もしかしたら内臓脂肪のたまりすぎが原因の可能性があります。

内臓脂肪がたまりすぎて膀胱(ぼうこう)を圧迫してしまうと、膀胱にしっかり尿をためることができなくなってしまうため、頻尿になったり、夜中尿意で起きてしまうということが発生します。

最後に、ぽっこりお腹と慢性的な腰痛のどちらも当てはまる方は、内臓脂肪過多によるぽっこりお腹が腰痛の原因の可能性があります。

重いお腹を支えるために、無意識に体を後ろに反ってバランスを取ろうとするため、腰に負担がかかります。妊婦さんに腰痛が発生する原理と一緒ですね。

腰痛のような「身体の痛み」があると、身体を動かすのが億劫になったり、痛みを感じないようにとあまり動かなくなってしまうため、身体活動の減少によって更に内臓脂肪がたまりやすい生活習慣となりやすいです。

身体に痛みがある方は、その痛みのケアも並行して行って、身体活動に支障がないコンディションづくりを行うことが大切になります。

効率的に内臓脂肪を減らすアプローチ7選

それではここから、具体的に何をすれば内臓脂肪を減らしていけるのかをご紹介します。できるだけ負担が少なめの、スモールステップでできるものをお伝えしますので、ぜひできそうなもの1つだけでも良いので実践してみてください。

1)毎食のご飯の量をちょっとだけ減らす

内臓脂肪に限らず、脂肪が増えてしまう一番の根本的な原因は「食べ過ぎ」です。よって、内臓脂肪を減らす上で、食事量のコントロールはやはり必須となります。

では何を減らすか?ということになりますが、簡単にできるものとしては「ご飯の量」を少しだけ減らす、ことかなと思います。

外食であれば、注文の時に「ご飯少なめで」と一言添えましょう。それだけで自然に減ります。自宅で食事をとる際は、普段「茶碗1杯」のご飯を食べている方は「茶碗ふわっと軽く一杯」にしましょう。

ちなみに、パン派の方は、食パンであれば「4枚切りを6枚切りに変える」といった工夫や、同じパンでも食物繊維が豊富な「ライ麦パン」「全粒粉パン」といったものを選択することで、糖質の摂取量を減らすことが可能です。

主食であるご飯やパンを減らしてしまうと食欲が満たされない!という方は、代わりにたんぱく質源や野菜を増やしましょう。くれぐれも脂質の摂りすぎ(揚げ物など)だけは注意してください。

2)フルーツは控えめにする

フルーツ(=果物)、特に旬のものはビタミンやミネラルが豊富なため、身体の調子を整える良い食材ですが、フルーツに含まれる「果糖」は血糖値を上げない糖分のため、満腹中枢が働かずに食べすぎてしまいやすいという特徴があります。

すでに脂肪がたくさんついているという方は、その脂肪によってすでに満腹中枢が働きづらい状態になっているため、より注意が必要です。

更に、フルーツに含まれる糖分は「単糖類」と呼ばれ、糖分の中でも一番消化・吸収のスピードが早いため、フルーツを食べると血糖値が急上昇しやすくなります。

血糖値の急上昇は、血糖値を下げるホルモン「インスリン」を大量に分泌し、インスリンは糖分を脂肪に変える働きがあるため、たくさん食べていなくても脂肪がたまりやすい状況を作り出すことになってしまいます。

フルーツを食べるときは「満腹中枢が働かない」ということを踏まえて、だらだらと食べず、あらかじめ量をちゃんと決めて食べるようにしましょう。

「血糖値」に関しては「血糖値スパイクを抑えてワークパフォーマンスを最大化する5つの方法」の記事で詳しく解説していますのでぜひこちらも合わせてお読みください。

3)日常で飲む飲み物を「水」か「お茶」にする

ダイエット中の飲み物はコレ!減量効果が期待できる3つの飲み物」の記事で詳しく解説していますが、「飲み物=液体」は、食べ物よりも圧倒的に消化・吸収が早く、砂糖入り飲料(清涼飲料水・ジュース、エナジードリンクなど)を飲むと、わずか数秒で200kcal程度が一気に摂取されてしまいます。

液体ではお腹いっぱいにならないですし、血糖値の急上昇も起きてしまうため、体重増加が起こりやすくなります。

では何を飲めばよいのかというと、減量効果が研究によって明らかになっているのが「水」や「緑茶」となります。

2013年にハーバード大学院から発表された研究3では、1日に1杯だけでも清涼飲料水やジュースを水に置き換えるだけで体重が減少したことを報告しています。

緑茶に関しては、2020年に発表されたレビュー4によって、緑茶を1日500mL飲み続けることで体重減少、体脂肪率減少が見られたことが報告されています。

飲み物は気をつけないと、知らず知らずのうちに大量のカロリーを摂取してしまいます。〇〇フラペチーノ等だと小さいサイズでも300〜400kcalの摂取となります。

まずは「1日1杯」だけでも良いので、砂糖入り飲料を飲む習慣がある方は水か緑茶に置き換えてみましょう。

4)ベジタブル&プロテインファースト

空腹状態のときに糖質が入ってくると、いきなり体内に糖分が増えることで血糖値が急上昇し、糖分を脂肪に変えるインスリンが大量に分泌されてしまいます。

よって、毎回食事を摂る際は「最初の2〜3分は野菜やおかずを食べる=ベジタブル&プロテインファースト」を心がけてみましょう。

野菜に多く含まれる食物繊維や、消化吸収が糖質と比べて遅いたんぱく質・脂質を食事の最初に摂取することで、消化吸収がゆっくりとなり、それによって血糖値の急上昇が起こらないため、インスリンも適量のみ分泌され、余計に脂肪が作られることがなくなります。

同時に、最初に食物繊維やたんぱく質、脂質を摂取しておくと、満腹中枢が刺激されて、食べ過ぎを防ぐこともできます。

食事量は変えず、食べる順番を変えるだけで太りづらくなる(もしくは食べ過ぎなくなって脂肪燃焼が起こる)なら、やらない手はないですよね!ぜひ最初の数分だけでも、糖質は控えてベジタブル&プロテインファーストを実践してみてください。

5)十分な睡眠時間&質の高い睡眠をとる

多くのレビュー5,6 によって、睡眠時間が短い人ほど肥満のリスクが高いことが示されています。

内臓脂肪が増えると、満腹を脳に伝えるレプチンの能力が低下してしまうことはすでにお伝えしましたが、「睡眠不足」がレプチンの分泌量を減らすこともわかっています。

更に寝不足は、レプチンとは逆に、食欲を増進させるホルモン「グレリン」の分泌量を増加させます。

つまり、しっかりと睡眠をとっていないと、食欲を抑えることで食べ過ぎを防いでくれるレプチンは減り、食欲を刺激してエネルギー摂取を求めるグレリンが増えるため、内臓脂肪の増加や肥満につながってしまいます。

内臓脂肪をためないための睡眠のとり方・考え方として最低限抑えておきたいポイントは以下の3つです。

  1. 最低7時間の睡眠量を確保する
  2. 睡眠の質を高めるための睡眠準備を行う
  3. 睡眠不足の翌日は食欲が増すことを頭に入れ、食欲をうまくやり過ごして食べすぎないよう心がける

睡眠の質を高める睡眠準備については「寝付きが悪い人必読!寝付きが良くなる6つの入眠スイッチ」の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひお読みください。

6)家事や通勤は立派な運動!とにかく1日中動くことを意識する

脂肪を減らすためには、ダイエットの基本の1つである「消費カロリーを増やす」ことが必要になります。

消費カロリーを増やす、と聞くと「運動」を思い浮かべるかと思いますが、忙しいビジネスパーソンにとってまとまった運動の時間を作るのは大変でしょう。

そんなあなたにオススメしたいのが、1日中、仕事中や日常生活の中で身体活動量を増やして「NEAT」を増やすことです。

NEATとは「非運動性活動熱産生」と呼ばれる「日常生活で消費されるカロリー」のことを指します。料理や掃除といった家事や通勤、スーパーでの買い物、仕事中にトイレへ行ったり、貧乏ゆすりで消費するカロリーもNEATに含まれます。

国際スポーツ栄養学会によると、1日中とにかく動いていると、NEATだけで1日2,000kcalも消費している人もいることを明らかにしています7

もちろん、運動好きな方や、運動する時間を捻出できる方は、ぜひ有酸素運動や筋トレ、スポーツなどを行いましょう。ですが、そんな時間は作れないという方も、普段の生活で意識して “動く” だけで充分にカロリーを消費でき、運動不足をも解消することが可能です。

日常生活で無理なくNEATを増やす具体的な方法については「「NEAT」の増加がダイエットの鍵【運動する時間がないならコレ】」で紹介していますので、ぜひこちらも合わせてお読みください。

7)「呼吸法」でストレスケア

過度なストレスはコルチゾールを増やし、コルチゾールは内臓脂肪を増やしてしまうことは前述しました。よって、ストレスケアを行ってコルチゾールが増えすぎないように対処する必要があります。

体を動かしたり、好きな趣味に没頭したり、ストレスケアの方法は人によって様々かと思いますが、どんな人にも、どんなストレスであっても、そのストレスレベルを低下させる効果があると言われているのが「呼吸法」です。

呼吸トレーニングによるストレス緩和は多くの研究によって示されていますが、例えば1分間の呼吸数を4〜6回まで減らすことで、緊張や不安が減るとともに、集中力や記憶力の向上にもつながると言われています8

意識的に呼吸のペースをゆっくりにすることで、リラックスモードに導く副交感神経活動が活性化し、筋肉の緊張が緩んでコルチゾールの分泌も抑えることができます。

ストレスレベルを低下させる呼吸法を行いたいという方は、ぜひ下記動画「ビジネスパーソンのための呼吸法」をぜひお試しください。

まとめ

3種類ある脂肪それぞれの役割と特徴から、内臓脂肪が増えてしまう原因、そして内臓脂肪を減らすためにできることについてお伝えしました。

短期間で一気に減らそうとせず、日常でのちょっとした意識の積み重ねによって、少しずつ減らしていけば、負担やストレスにならずに心身の健康を手に入れることができます。

健康診断等でドクターから「運動してください」と言われたら、いきなりジョギングやジムでの筋トレはハードルが高いと思いますので、ぜひ本記事で紹介したようなアプローチから実践してみていただければと思います。

参考資料・文献

  1. 栗原毅. 眠れなくなるほど面白い図解内臓脂肪の話. 日本文芸社; 2021.
  2. 奥田昌子. 内臓脂肪を最速で落とす. 幻冬舎; 2018.
  3. Pan A, Malik VS, Hao T, Willett WC, Mozaffarian D, Hu FB. Changes in water and beverage intake and long-term weight changes: results from three prospective cohort studies. Int J Obes . 2013;37(10):1378-1385.
  4. Lin Y, Shi D, Su B, Wei J, Găman MA, Sedanur Macit M, et al. The effect of green tea supplementation on obesity: A systematic review and dose-response meta-analysis of randomized controlled trials. Phytother Res. 2020;34(10):2459-2470.
  5. Patel SR & Hu FB. Short sleep duration and weight gain: a systematic review. Obesity(Silver Spring). 2008;16(3):643-653.
  6. Cappuccio FP et al. Meta-analysis of short sleep duration and obesity in children and adults. Sleep. 2008;31(5):619-626.
  7. Aragon AA, Schoenfeld BJ, Wildman R, et al. International society of sports nutrition position stand: diets and body composition. Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2017;14(1). doi:10.1186/s12970-017-0174-y.
  8. Nestor J. Breath: The New Science of a Lost Art. Riverhead Books; 2020.