ダイエットと言えば、食事制限による摂取カロリーの減少や、身体活動による消費カロリーの増加がパッと思い浮かぶかと思います。

しかし、実はダイエット成功の大きな鍵を握るのは「朝食を食べること」です。

多くのダイエッターは、食事量を減らそう減らそうと努力しますが(もちろん食事量のコントロールは重要ですが)、朝食を食べないと太りやすくなってしまう理由や、朝食で食べるものが減量成功において重要なカギを握っていることについて、ちゃんと知っている方はあまり多くはありません。

本記事では、なぜ朝食の有無がダイエット成功を左右するのか、そしてどのような食べ物を朝食で食べるとダイエットにつながるのかについて解説します。

ダイエットのための食事術として、朝食の役割をしっかりと知ることで、あなたのダイエットがより成功に近づくことでしょう。

朝食抜きが太りやすい2つの理由

摂取カロリーを減らすことがダイエットの基本なのに、なぜ朝食を食べることがダイエットにつながるのか?と思う方が多いかと思います。

朝食を抜くと太りやすくなってしまう2つの理由をここから解説していきます。

1)朝食抜きは筋肉が減ってしまう可能性がある

Skipping breakfast causes muscle loss.

基本的に、食事と食事のインターバルが一番長いのは「夕飯→翌日の朝食」の場合が多いかと思います。例えば、夜19時に夕ご飯を食べて、次の日の朝、朝食を7:00に食べたとすると、インターバルは12時間となります。

夜は日中と比べると活動量が多くないため、大量にエネルギーを消費することはないですが、それでも夜ご飯の後もお風呂に入ったり、歯を磨いたり、多少の活動はありますよね?

更に、寝ている間も脳や臓器は活動を続けています。呼吸もしていて、寝返りを打ったりもするので、やはりエネルギーが必要になります。

夕飯から翌日の朝食までの約12時間は食事によるエネルギー摂取ができないため、夜間は体内(=肝臓)に蓄えられたグリコーゲンと呼ばれる糖分(=エネルギー)を使用して、生命維持活動を継続しています。

そして、夜間で肝臓に蓄えられたグリコーゲンはほぼ使い果たすことになるため、朝起床時は、体内にはほとんどエネルギーが残っていない状態となっています。

このタイミングで、朝食を食べてエネルギーを摂取すると、体内にまたエネルギーが蓄えられるので問題ないのですが、もし朝食を食べないと、エネルギーがもう残っていないため、生命維持活動や身体活動(顔を洗う、着替える、外出するなど)のためのエネルギーを、身体自ら作り出さなければならなくなります。

エネルギーをどう作り出すかというと、筋肉を分解して作り出します(筋肉を分解してエネルギーとなる糖を作り出すことを「糖新生(とうしんせい)」と呼びます)。

このような理由で、朝食をスキップすると、筋肉を分解してエネルギーを作り出す仕組み(=糖新生)が働いてしまうため、筋肉が減ってしまう可能性があるのです。

筋肉の減少は「基礎代謝の減少」「身体活動を行った際の消費エネルギーの減少(=筋肉が少ないとたくさん動いてもあまりエネルギーを消費しなくなる)」「少し動くとすぐ疲れてしまうことによる身体活動量自体の減少」など、ダイエットが成功しづらくなることに加えて、見た目としてもダルっとした身体になってしまします。

筋肉の量を減らさないことがダイエットでは重要な要素の1つとなるため、筋肉量を維持するために、朝食をとることが大切になります。

2)朝食を抜くと身体は「蓄積モード」になる

Skipping breakfast goes into accumulation mode.

朝食を食べないと、身体は「エネルギーが足りない」状態が長く続くことになります。

すると脳は「次にエネルギー源(=糖質)が体内に入ってきたら、エネルギーが足りない状態にならないようにしっかりと溜め込んでおこう」「蓄積モード」の状態になり、たとえ少ししか食事を摂取しなかったとしても、エネルギーを蓄えるために体脂肪に変換してしまいます。

つまり、朝食を抜くと、筋肉を減らしながらエネルギーを作り出すだけでなく、次の食事(=昼食)で食べたカロリーを体脂肪として蓄えやすい状態になってしまいます。

実際、2003年に発表された研究では、朝食を摂らない人は摂る人の5倍も肥満になりやすいことが報告されています1

脂肪というのは、飢えを防ぐための保存用エネルギーの役割を果たしており、エネルギーを蓄えておくには最適の形です。

朝食を抜くことは脳にとって「飢え」を感じさせてしまうため、飢えないために、次の食事で得たカロリーはなるべく脂肪として蓄えておこうと「蓄積モード」の状態を作り出してしまうのです。

ダイエットしたい!体重を減らしたい!と考える人は、必ず朝食をとりましょう。

ダイエットのためのおすすめの朝食

朝食を抜いてしまうと、たとえたくさん食べていなくても(=摂取カロリーとしてはそこまで多くなくても)太りやすくなってしまう理由が分かったかと思います。

では次に、朝食では何を食べるとダイエットにつながるのかをお伝えします。

ダイエットしたいなら朝食で「糖質」を摂る

朝食を食べないとエネルギー不足になってしまい、筋肉の分解が進んだり、蓄積モードになってしまうことをお伝えしました。

よって、朝食の役割は「糖質を摂取してエネルギー(=肝臓に蓄えられていたグリコーゲン)を補充すること」になります。

朝食で糖質(=ブドウ糖)を摂取することで、筋肉の分解を防ぐとともに、蓄積モードではなく活動モードとなるため、代謝が活性化します。

ブドウ糖は、以下のようなものから摂取することが可能です。

  • ご飯
  • パン
  • 麺類
  • イモ類(干し芋もOK)
  • とうもろこし
  • かぼちゃ
  • れんこん
  • おせんべい

朝は食欲がないという方も、まずはご飯やパン2〜3口、もしくは干し芋やおせんべいだけでも良いので「朝食でブドウ糖を摂取する」ようにしましょう。

朝食に適していない糖質

糖質は糖質でも、朝食で摂取すべき糖質は「ブドウ糖」です。ブドウ糖だけが肝臓に蓄えられるエネルギー(=グリコーゲン)になれます。

ブドウ糖以外の糖質を摂取しても、肝臓に蓄えられていたグリコーゲンの補充にはならないので注意しましょう。

ダイエットのための食事術として、朝食にはあまり適さない糖質は以下のとおりです。

  • フルーツ:ブドウ糖に加えて果糖を多く含むため、内臓脂肪に変換されやすいです。
  • グラノーラ:フルーツと同様、果糖を多く含みます。
  • ヨーグルト:ブドウ糖ではなく乳糖のため、肝臓のグリコーゲン補充になりません。
  • 清涼飲料水・ジュース:「果糖ぶどう糖液糖」はブドウ糖よりも果糖を多く含みます。

フルーツは朝食に一見良さそうですが、果糖は肝臓にエネルギーとして蓄えることができないため、体脂肪になりやすい性質があり、ダイエットにはあまり向きません。ブドウ糖を摂取することを意識しましょう。

まとめ

ダイエットのための食事術として、朝食をスキップすると太りやすくなってしまう理由と、朝食で食べるべき食品についてお伝えしました。

朝食でブドウ糖を摂取して体内にエネルギーを補充することで、脳は「このエネルギーを使っていってもまた食事で補充されるから大丈夫」と考え、活動モードとなって代謝が活性化し、エネルギーをしっかり消費できる身体となります。

食事の量のコントロールはダイエットにおいてもちろん重要ですが、朝食を食べずに身体を蓄積モードにしてしまうと、たとえたくさん食べていなくても体脂肪が増えてしまうということが起こります。

ダイエットの成功のために「朝食でブドウ糖を食べる」は必須です。ぜひ実践してみてください。

参考文献・資料

  1. Ma Y, Bertone ER, Stanek EJ 3rd, Reed GW, Hebert JR, Cohen NL, et al. Association between eating patterns and obesity in a free-living US adult population. Am J Epidemiol. 2003;158(1):85-92.
  2. 西村紗也香. ミス・ユニバース ジャパン ファイナリストが教える 究極のやせる食事術. 産業編集センター; 2021.
  3. 朽木誠一郎. 健康診断で「運動してますか?」と言われたら最初に読む本 1日3秒から始める、挫折しない20日間プログラム.; 2023.