日本ではあまりなじみのないチェスですが、競技人口は7億人とも言われ、世界中で親しまれているボードゲームです。チェスの魅力はそのゲーム性だけにとどまりません。海外では子どもを伸ばす教育効果が注目を集めています。

チェスと将棋は同じ起源

「西洋の将棋」とも言われるチェスは、将棋と同じインド発祥のボードゲーム「チャトランガ」が起源です。ヨーロッパに渡ったチャトランガは、「チェス」となり、日本に渡ったものが「将棋」になったと言われています。
駒の数や使い方、盤の大きさなど、さまざまな違いはありますが、相手のキング(王将)を打ち取ることで勝利するという基本ルールは同じです。

教育として学ぶチェス

義務教育にチェスを取り入れているのが、IT先進国として注目されているアルメニア共和国です。小学校2~4年生で週2時間のチェスの授業を設けています。

アルメニアの心理学者の研究によると、チェスが得意な子どもは、反射神経、比較分析能力、クリエイティブな思考能力などが優れているという結果が得られたそうです。

欧米でもチェスを奨励している学校が多く、教育熱心な親は積極的に子どもにチェスのレッスンを受けさせるなど、習い事としても注目されています。

チェスが子どもに与える影響

子どもに対する教育効果が注目されているチェスですが、実際にはどのように影響を与えているのでしょうか。

まず、ゲームを通して記憶力や集中力が鍛えられるため、学力が向上します。
勝負に勝つためには、先を読んで戦略を練ることが必要です。そのため、自分で考える力が伸び、リーダシップ力、決断力やクリエイティブな思考能力、問題解決スキルなどが自然に育っていきます。

いろいろな人と対戦することで、身につくのがソーシャルスキルです。また、勝負を通して、忍耐力や負けてくやしくても、相手を尊重できるセルフコントロールができるようになります。
試行錯誤をして、自分の力で勝負に勝つことは自信になり、自己肯定感が向上します。一方で、負けることを経験することも大切です。その経験から学びを得て、次の勝利につなげるという考え方ができるようになります。

チェスにより、リスクを正しく評価する能力がつくという実験結果もあります。
イギリスで15~16歳の子ども400人を対象に行われた認知能力に関する実験によると、チェスを学ぶことで、リスクを負うことへの嫌悪感を軽減したそうです。
人生でやりたいことを叶えるには、リスクを伴う判断が必要かもしれません。その際に、リスクとリスクを負うことで得られる結果を比較し、自信をもって判断できるようになるのです。

「考えるスポーツ」と言われるほど頭脳を駆使するチェス。子どもを伸ばす方法としてはもちろん、グローバルに活躍することを考えると、コミュニケーションツールとしても役立ちそうですね。 運動もバランスよく取り入れて、心と身体の両面から、上手に子どもの成長を促しましょう。


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