将棋による、思考力や集中力などの「自分で考える力」の養成に加え、勝ち負けの喜び悔しさから「相手を思いやる心」を育むところから、子どもたちへの教育的効果が注目され、将棋を総合学習に取り入れる学校が増えています。

Dream AcademiA(ドリームアカデミア)塾長 早船 正高さんに将棋と教育に関してお話を伺いました。


総合学習に取り入れられる「将棋」の魅力

編集部:
早船塾長は小学校の教員時代に、将棋を総合学習に取り入れた第一人者と聞きました。どのようなきっかけで将棋を授業に取り入れ始めたのですか?

早船塾長:
私立小学校で教員をしていました。そこでは十数年前からいろんな教科を縦割りから繋がりから色んな形で学ぶ授業として「総合学習」をやっていました。国語・算数をやるだけじゃなくいろんな生活面もカバーできる体験をさせたいとの願いからです。今は公立校でも定着してきましたが、それがない時代から1年生から6年生までを対象にした総合学習に取り組んできました。

その際に、日本の伝統文化に取り組むことを大事にしていましたので、阿波踊りやよさこいなどの民舞に加え、将棋を取り入れてみました。すると、普段、勉強でも体育でも活躍の場がなく、学校生活の中であまり光る部分が見えない子が、すごく活躍している場面を目にしました。これは教育的な視点として取り入れていけるのではないかと思いました。

勝ち負けだけでない、教育的な視点

編集部:
総合学習の時間で、どのように将棋を教えているのですか?

早船塾長:
基本のルールを教える所からはじまり、理論立てた戦法へと、将棋への理解を広げていきます。先を読むことや技術も教えていきますが、大事にしているのは勝ち負けだけでなく、一人一人が将棋を通してどう成長していくかという点です。

一般の将棋教室とは違い、勝った子だけが残っていくのではなく、将棋をきっかけに、子どもたちの個性を見出す場となることを目指しています。

個人戦だけでなくチーム戦を交える事で、得意な子が力を伸ばすだけでなく、クラス全体のコミュニケーションや友達関係を築くきっかけになっています。

古来からの日本文化「礼節」

早船塾長:
将棋は武道と同じで「礼に始まり、礼に終わる」ことを大切にしています。相手をリスペクトする「礼節」の価値を、1000年続く将棋に接することで伝えていけたらと思います。

将棋は先を見通すから、地頭がよくなる

編集部:
将棋の学習面での効果ってあるのでしょうか?

早船塾長:
将棋は、単純に計算するとか、記憶するだけじゃなく、常に先を見通して考えを巡らせ続けなければいけないです。だから将棋が強い子は、学習能力でも力を発揮するようになっていきます。

頭を使うには体力も必要

早船塾長:
プロ棋士の先生方が対局を朝から夜まで続ける時は、体重が2kg落ちると言われています。なにも運動せずに、食べたり飲んだりしていても、ものすごくエネルギーを消費するのです。
将棋は頭でやりますが、実は体力も必要です。

体と頭、両方育む場

編集部:
将棋と体力の関係、今まで全く考えたこともなかったです。

早船塾長:
将棋は最終的に終盤で勝ち負けが決まります。終盤に力を発揮するには、いろんな要素がありますが、体力的な部分であったり、体のコンディションがとても大事です。

考えられない状況になったら、それこそ勝てませんよね。将棋の終盤力の鍛え方、対局力を身につけるために、ただ将棋を指すだけじゃなくて、体のコンディションを整えるために、運動による体力アップを大切にしています。

特に育ち盛りの子どもたちにとって、運動による体力づくりはとても大切です。心と体両面から子供達の成長をサポートすることが何よも大切ではないでしょうか。


将棋も体力と関係があったとは、思いもよりませんでした。子どもの頭脳の成長も、運動と深く関わっていることが分かり、大変興味深かったです。


脳・カラダ・ココロを鍛える 将棋・チェスアカデミー

Dream AcademiA(ドリームアカデミア)は、将棋やチェスの対局力(棋力)を高めると同時に、人間の成長に必要な脳力、体力、精神力の向上を目的とした将棋・チェスの養成アカデミーです。
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