「本当に効果があるウォーキング!!インターバル速歩のススメ」
松本大学 人間健康学部長/教授の根本賢一先生へのインタビュー最終回。
ここまで、運動の必要性や、インターバル速歩の具体的な実践方法についてお伺いして参りました。
今回は「運動が苦手・なかなか続かない」という方でも継続出来る工夫について教えて頂きました!


前回までの記事はコチラ
第1回:今こそ歩きましょう!運動不足を放置してはいけない理由とは?
第2回:インターバル速歩実践!正しいフォームと歩き方のコツ


編集部:
「運動をした方が良いと分かっていても、なかなか続かない・・・」という方はどうしたら良いでしょうか?

根本先生:
前回もお話しましたが「歩けてラッキー!」「動けてラッキー!」の考え方はとても大切だと思います。
運動するぞ!と意気込むとなかなか続かない方が、日常生活のちょっとした移動を活用して、階段があれば「運動するチャンスだ!」と捉えられると、特別に時間を確保しなくても、日常の活動量が上がります。

また、継続の工夫としては「仲間を見つけること」と「記録をつけること」がポイントです。

まず「仲間を見つけること」ですが、運動自体は1人でやっていたとしても「最近やってる!?」「調子はどう?」などと、声を掛け合える仲間が居ると継続率がぐんと上がります。

私の大学でも、教職員(希望者)に活動量計をつけてもらい歩数や活動量を計っていて、そのデータをクラウドにアップする機械を大学のエントランスに設置しています。そこを通る際に皆さんが、機械に活動量計をかざす習慣があるので、仲間を見かけたら「あれ?データアップしないの?」「先週どのくらい歩いた?」などと声を掛け合うきっかけとなり、横の繋がりができています。
またそのデータを集計し、毎月「歩数」と「運動量」が多かった上位5名をランキングで発表し、そこに健康コラムも掲載するといった活動を長年続けているので、コロナ禍になってからも、参加している皆さんの運動量は落ちていないですね。
会社など、チームでこの様な取り組みがあれば理想的ですし、身近な家族や友人を誘って活動量計やアプリを利用してお互いに結果を報告しあう。という方法であればすぐにでも始められると思います。

また、この様なコミュニティーの輪を広げて行くには「体験者の口コミ」がとても重要です。私たちの様な指導者がいくら言っても運動しなかった人が、同僚や家族が運動を始め「スッキリ痩せた!」「健康診断結果が劇的に改善した」などの姿を見ると、「一体何をやったの!?」「私にも教えて!」と急に興味を持ち出します。そこで、じゃあ一緒にやろうよ!と巻き込んでいければ仲間も増えて継続の支えとなり、良い循環が生まれますね!
誰かに言われたからやる、強制的にやらされるのではなく、自ら興味を持って主体的に始めた事は続きやすいと思います。

編集部:
素晴らしい取り組みですね!
「仲間に声をかけるのは苦手・出来たら1人でやりたい」という方へのアドバイスはいかがでしょうか?

根本先生:
1人でやりたい。という方も多いですよね。その場合は「記録をつける」事をお勧めしています。

編集部:
「記録をつける」というのも継続が難しくないでしょうか?私は昔から日記なども三日坊主になりがちです・・・

根本先生:
記録と言っても、何か素晴らしい運動結果を書いたりする必要は無いです!先ほどもご紹介した「活動量計」であれば、ただ電池を入れて装着しているだけで記録が自動的に取れます。そして全く運動しなかった日は「こんなにも動かなかったんだ」という記録が残り、ご自身の現状の把握や気づきにつながります。そんな時は、1回目のインタビューでご紹介した「運動の必要性」を少し思い出してもらって、次の日は今日より少し動こう!というモチベーションに繋げて頂けると嬉しいです。

編集部:
なるほど!装着しているだけで自動的に記録が取れるのであれば、継続に不安がある方でも大丈夫ですね。

根本先生:
あとは、継続していく上でご自身の趣味とドッキングさせると楽しく続けられますよ。カメラが趣味の人であれば、カメラを持って色々な所に歩きに行くとか、この辺(長野県)であれば山菜やきのこが採れたりもするので、そういった楽しみのついでに歩く様にすると良いと思います。

編集部:
前回お伺いした、生活パターンを変えずに「歩くチャンス」を見つけるという所にもつながりますね!
私は、カフェに行くのが好きなので、「カフェ巡り」にウォーキング要素をプラスしてテイクアウトを楽しんでみたいと思います!!
根本先生、貴重なお話をありがとうございました。


(編集後記)
根本先生へのインタビュー連載、いかがでしたか?
コロナ禍、リモートワーク等で運動不足・コロナ太りを感じていらっしゃる方は、今までは通勤や何気ない移動が「良い運動」になっていて、それを運動として特別意識していなかったからこそ活動量が確保出来ていた。とも考えられる事に気づかされました。運動は苦手・継続に不安があるという方こそ「特別な運動」を張り切ってスタートさせるのではなく、今ある生活を大きく変化させなくても「歩くチャンス」「動くチャンス」は無いか?と振り返ってみるのはいかがでしょうか?


根本賢一 (ねもと けんいち)
松本大学人間健康学部長/教授/博士(医学)
中高齢者を中心とする全世代的な地域の健康づくりの実践的研究者。健康効果の高いと評判の「インターバル速歩」の共同研究者でもある。
トレーナーとして、アトランタオリンピックに参加するなど、これまで多数のプロスポーツ選手の体力コンディショニング指導。現在は、自治体や企業などで展開されている、健康づくり教室の企画や指導及び、医療法人横浜未来ヘルスケアシステム副理事長、熟年体育大学理事も務める。テレビ出演、著書多数。スポーツ医科学分野で活躍中。