「ウェルビーイング」という言葉、最近耳にする機会が多いと思います。

WHO(世界保健機関)は「ウェルビーイング」という言葉について、Health Promotion Glossary of Terms 2021の中でこのように定義されています。

“Well-being is a positive state experienced by individuals and societies.(ウェルビーイングとは、個人や社会にとってのポジティブな状態のことである)”

“ポジティブな状態” というのは、かなり広い、抽象的な表現に聞こえるかと思いますが、これは、人によってウェルビーイングが異なることを意味しているとも言えます。

自分自身、一人ひとりが、自分にとってのウェルビーイングとはどのような状態なのか、もう少しだけ具体的なワードを使うと、一人ひとりの幸せ、豊かな人生とは何なのか?を考える必要があると言えるのです。

「自分らしく幸せに生きていく」というのは、これからの時代のキーワードだと思います。

収入や健康といった外形的な価値だけでなく、キャリアなど社会的な立場、周囲の人間関係や地域社会とのつながりなども含めて、自分らしくいきいきと生きていくために、どんなことをやっていけば良いのか?どんなことができるのか?について、少し考えてみませんか?

今回は、自分らしく生きるうえで、まずは自分を大切にしていくために、今日から実践できる小さな行動「セルフケア」を11個ご紹介していきます。

どれも小さな行動ですが、その積み重ねが、自分を大切にすることになり、それぞれの方のウェルビーイングにつながっていくかと思います。

1)仲の良い人や同僚に、自分の良いところを聞いてみる

セルフケアをする前に、自分のことを見つめ直すことが大切です。でも、なかなか自分のことを客観的に見つめてみることは難しいです。

そこで、ぜひ仲の良い人や同僚をランチやお茶に誘って、自分の良いところを聞いてみてください。ちょっと恥ずかしいかもしれませんが、意外な気づきがきっとあるはずです。

また、お願いした相手には、日頃の感謝の言葉もしっかり伝えてあげてください。もちろん、家族に質問してみてもいいですね。

2)「いただきます」をしっかり言ってから、食事をする

食事の前に、手を合わせて「いただきます」と言っているでしょうか?子どもの時は、大きな声で言っていたこの言葉も、大人になってちゃんと言っているでしょうか?

お店で、スマホを見ながら食事している人をよく見かけます。みなさんは食事のとき、ちゃんと何を食べているか、食材の味を味わいながら、食べているでしょうか?

「いただきます」は、日本語以外には訳せる言葉はみつかりません。自分の作った料理にも言うことができる、素敵な言葉なのです。

精進料理で食事前に唱える「五観の偈(ごかんのげ)」

一には功の多少を計り、彼の来処を量る。
二には己が徳行の、全缺を忖って供に応ず。
三には心を防ぎ過を離るることは貧等を宗とす。
四には将に良薬を事とするは、形枯を療ぜんがためなり。
五には成道のための故に、いま此の食を受く。

と全員で唱え、食後には普回向を唱えます。それぞれの意味は、

一には、目の前の食事には、どれほど沢山の人の手がかかっているかを思い、そのことに感謝していただくということ。作ってくれた人、運んでくれた人、売っている人、食材を作ってくれた人など全ての人に感謝する。そして、食材そのものにも感謝する。

二には、このありがたい食事を食べる資格が自分にあるのかどうか、日頃の行いを振り返って考える。

三には、仏教の三毒と言われている貪り、怒り、真実に対する無知を払いのけながら食すること。食事に専念する。

四には、身体も心も健全にするための良薬として感謝して食事をいただく。

五には、この食事は自分の糧となり明日に繋がる力になるためのものである、新たな誓いの心を持ち食事をいただく。

「五観の偈」は、食事を作ること、食べることが、私たちの生きることと一体であるということを唱えています。

それらを一言で言い表している「いただきます」をしっかり声に出してみるのは、自分をいたわることにも繋がっていきます。

3)世界地図を眺めてみる

大人になって、世界地図を眺めることって少なくなっていませんか?お子さんがいると、壁に世界地図を貼っているかもしれません。

今は、100円ショップでも世界地図が売っているので、ぜひ買ってみてください。ニュースに出てくる国の位置、今度行って見たい国、今の自分がいる位置を確認すると、世界は広いと再認識できます。

妄想旅行を考えて、パワーチャージしてみてください。

4)メルカリに商品を出すのではなく、あえてガレージセールしてみる

お盆の時期や、年末年始の時期は、大掃除をする人が多いかと思います。

コロナ禍の時期は特に、家にいる時間が増えた人も多く、それまでなかなかできなかった大掛かりな片付けにチャレンジした人も多いそうです。

そして、自分では使わなくなったモノをメルカリ等のアプリを使って売る人も増えています。煩わしいやり取りもなくて使いやすく、私の知人も、使い終わったモノをすぐにメルカリで売っています。

リユース、リサイクルの意味でも、自分が使わないものを必要な人に届けるのは良いことですね。

そこで、今回のご提案は、メルカリを使うのも良いですが、自宅でガレージセールをやってはいかがでしょうか?というものです。

我が家は、子どもと一緒に不定期でやっています。ご近所とのコミュニケーションにもなりますし、もちろん、はじめての人とおしゃべりもできます。

誰かのお役にたてることは、自分のセルフケアに必ずなります。それが、目の前にいる人だと思えると、とても心がほっこりします。

お部屋も片付けられて、多少のおこづかいにもなりますね。美味しいお菓子などを食べられるかも。

5)これから1年で学んでみたいことを考えてみる

特に年の始めには、その年のことをあれこれ、考える人も多いでしょう。年始でなくてももちろん良いですが、「これから1年間で学んでみたいこと」について考えてみませんか?

その時はまず、今までどんなことを学んできたかの棚卸をしてみることもお勧めします。いろいろ、学んできた自分。「頑張ってきたな!」とか、「もっとやっておけば」など、いろいろな想いが出てくるはずです。そんな時に、まずは自分を褒めてあげてください。

これからの学びというのは、資格取得に限らず、自分で深めたい学びです。いわゆる “正解” というものがないことが多い現代では、答えがわかっているものばかりを学ぶよりも、正解のないものへの対応力、考え方に磨きをかけてみてはいかがでしょうか。

今日が一番若い日です。ベイビーステップでOKです。

6)玄関を拭き掃除してみる

玄関を「掃き掃除」する人は、いると思いますが、あえて「拭き掃除」をしてみましょう。大掃除のタイミングであれば、ぜひチャレンジしてみてください。

とっても綺麗になって、気持ち良いです。靴まで磨きたくなるかも。

磨く時は、無心になれるので、心がスッキリしてきます。床でも、靴でも、自分が歩いてどこでも行けるのは、玄関から、靴があるからです。

それが、感謝の気持ちになり、セルフケアに繋がります。

7)タオルを新調してみる

子どもの時に、お気に入りのタオルやぬいぐるみがありましたか?ふわふわ、ぬくぬく感は、やさしい気持ち、安心した気持ちになります。

コロナ禍以降、使い捨てのペーパーなどを使う機会が増えましたが、あえて自分のタオルを持ち歩いて、安心感を持ち歩いてみてください。

何か、気分転換する時に、プレゼンテーション前の緊張をほぐす時にも、そのタオルを握ってみると、気持ちが落ち着くかもしれません。

ぜひ、新しいタオルを新調してみてください。

8)新聞の人生相談を読んでみる

私は、子どもの時にラジオの悩み相談を聞いて、大人も心配や悩み事があるのだな、と思ったことを記憶しています。

新聞の人生相談を読んでみるというのは、回答者の答えを予測することで思考のトレーニングにもなる、と知人が教えてくれました。

確かに、回答者の傾向は掴めてきます。そして、世の中には、こんな悩みがあるのだと、自分の知らない世界を垣間見ることもできます。

事実は小説より奇なり。そんなトレーニングをしておけば、同僚からの相談や、部下の悩み解決の糸口になるかもしれません。

9)80代、90代の人と話す機会をつくる

コロナ禍を経て、親戚と会う機会がめっきり少なくなってしまった、という人も多いのではないでしょうか。

そこで、意識して地域の高齢の人とお話しをする機会を持ってはいかがでしょうか?多くの困難を乗り越えてきた人からの、話を聞くことができれば、今後の私たちの生活に役立つことや気づきも多いものです。

地域の歴史を長年研究している人から話を聞けば、観光地以上に、地元にも魅力的な場所があると気づくことでしょう。

10)会いたい人に、今日、コンタクトをしてみる

いつかやろう!は、永遠にない。これは、事実のように思います。

会いたい人にも、都合があるので、とにかく、会いたいと思った人には連絡を入れて、会う約束をしてみてください。

それが、電話で話すだけだとしても、きっとあなたの心が満たされます。

11)給料日にお客様に感謝する

お給料は、会社から振り込まれるので、会社から給料を貰うと勘違いしがちだと思います。

でも、それはお客様がいるからこそです。

直接、顧客と接していなくても、メンバーのサポートや業務をしていることで、事業は成り立っているのです。

今度の給料日には、お客様を思い浮かべ、しっかり感謝をしてみてください。自分の役割を改めて考えるきっかけにも、なってきます。

まとめ

自分を大切にするためのセルフケアとして、今日からできる、自分らしく生きるための小さな行動を11個ご紹介しました。

日々、目の前の業務や、やらなければならないことに追われ、なかなか自分をいたわる時間を作れなかったり、自分にとっての幸せや、豊かな人生とはどういうものなのかについて考える機会は、ないかもしれません。

今回の記事を通して、少しでも、自分にとってのウェルビーイングってどんなものなのか?について考えるキッカケとなったり、ちょっとでも自分に優しくする時間を作ってみようと思ってもらえたら幸いです。