藤井聡太棋士の活躍により、ここ数年、将棋ブームが続いています。
将棋は、教育や脳科学の分野でも注目されており、「子どもに将棋を習わせたい」と考えている親御さんが少なくないようです。
「頭が良くなる」というイメージが強い将棋ですが、実は他にもメリットがたくさんあります。

今回は、将棋が子どもにどんな影響を与えるのか、考えてみましょう。

将棋で鍛えられるのは、右脳か左脳か?

将棋は「マインドスポーツ」と言われるほど、頭を使うゲームです。実際には、どんなメカニズムで脳に影響を与えるのでしょうか。

脳の役割分担

右脳:イメージ脳、空間認識、知覚、感性、創造性など
左脳:言語脳、思考、論理的思考、分析推論、計算など
前頭葉(前頭前野):司令塔、集中、意欲、工夫など

将棋は、まず現在の盤面の駒の配置から1~3手先を想像し、自分が次に打つ手を決めます。これは右脳の役割です。対局の経験を積むことで数多くのパターンを想像できるようになり、右脳は鍛えられていきます。

やがて、将棋の論理やセオリーを活用し、対局の中で策略を立てるようになります。そうなると活躍するのは左脳です。左脳を使うことで、右脳で想像していた時よりも先の展開を予想し、相手の手を読めるようになります。

「一流の棋士はさぞかし左脳が発達しているのだろう」と思いますが、実は右脳をフル活用している人が多いそうです。左脳を使った論理や策略を立てる経験を積み重ねることで、ほぼ考えなくても右脳で次はどの手が有効かという答えを出せるようになります。
そうなると左脳の負担が軽くなり、結果的に左脳を別のことに使う余裕が生まれます。

やがて、それまで学んできた論理やセオリ―を越えて、前頭葉を使って自分で戦略を練り、工夫して戦うようになります。

つまり、将棋は、右脳・左脳だけでなく、前頭葉も鍛えることができるのです。

将棋は礼に始まり、礼に終わる

将棋では、「3つの礼」を大切にしています。
「3つの礼」とは、まず対局の始まりに交わす挨拶、「お願いします」。次に自分が負けたことを宣言する「まいりました」。そして、対局が終了したところで、お互いに「ありがとうございました」という挨拶をします。
「3つの礼」により、初心者や子ども、プロでも関係なく、対局をしてくれた相手に対し、感謝と敬意を表すことの大切さを学ぶことができます。

感情のコントロールができるようになる

将棋の対局では「投了」と言って、自分から「まいりました」と負けを宣言することで勝敗が決まります。経験が浅い子どもの中には、負けを自覚すると、泣いたり、ごまかそうとする子が少なくないそうです。経験を積むことにより、悔しさを抑えて、謙虚な心で負けを認めることができる心の成長につながります。
また、対局中は、相手が次の手を考えている間、待たなければいけないという場面を多く経験するでしょう。そんなときも相手に配慮し、じっと待つことにより忍耐力も身につきます。

先を読む力がつく

将棋には「三手の読み」という言葉があります。これは、「自分がこう指せば、相手がこう指すだろう。そしたら自分はこう指そう」という、三手先を読んで、自分の次の一手を決めることをいいます。
その時に大切なのは、相手が指すであろう二手目に「自分にとって不利な手」を考えられることです。人はついつい自分にとって都合がいい手を予想する「勝手読み」をしてしまいます。相手が安易な手を指してくると予想していると、想定外の手を打たれ、一気に形勢が不利に……ということになりかねません。将棋で経験を積むことで、状況を客観的で冷静に分析し、これから起こることをより正しく予想できる力を生み出します。

将棋は、夢中になるとついつい長時間の対局になってしまいます。脳のためには、有酸素運動も大切です。脳の血流が良くなり、酸素を取り込む量や成長ホルモンの分泌が増加します。プロの棋士の中には、対局前に歩いたり、フットサルなどのスポーツをする方が少なくありません。
特にお子さんの場合は、健康や成長のためにも運動は大切です。心身ともに上手にバランスをとって、楽しく将棋を身につけましょう。


脳・カラダ・ココロを鍛える 将棋・チェスアカデミー

Dream AcademiA(ドリームアカデミア)は、将棋やチェスの対局力(棋力)を高めると同時に、人間の成長に必要な脳力、体力、精神力の向上を目的とした将棋・チェスの養成アカデミーです。
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