日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、管理栄養士、スポーツ栄養士の後藤 優子さんに編集部がインタビューしました。

「食べる」は循環 感じ、考え、観察しよう

編集部:食についての後藤さんの考えをお聞かせください。

後藤さん:「食べる」の定義を、“循環”だと考えています。

まずは感じること。
(お腹がすいているかな、今はあまり食べなくていい。少ない量でいいや等と感じる。)

何を食べるか考える

買い物にいく、実際に手に取る、調理する

口に入れたら、しっかり噛む

消化吸収されて、必要ないものは排出、必要のあるものは身になる

身体が大きくなっているのか、自分の理想になっているのか、感じ取ったり、鏡で見たりする。

ただ、あるものを口に入れるだけで健康になるのか、というとそうではない。パズルのように、いかに組み合わせるかが大事なので、知識を得る作業も大事だと思っています。

編集部:知識を得る作業についてアドバイスありますか?

後藤さん:知識を得る際、何でもすぐ鵜呑みにしないこと。
情報自体も咀嚼し、味わうことが必要です。
必要あるものは取り入れる、必要ないものはいらない、取捨選択する。それが正しいか、正しくないか、試してみて合うか合わないか。方法はいくらでもあるので、形だけにとらわれない。まずは取り入れてみて、感じ、考えて、自分で判断しましょう。

編集部:このトレンドのこれなら取り入れやすいなど、試してみるのもいいですね。

後藤さん:そうですね。青汁は冷凍なら無理だったけど、スティック(粉末)ならいいとか、やってみてこそ、苦手なのか、取り入れやすいのかが分かる。 食材やおかずの保存でいうと、大家族だとやりやすく、一人ぐらしだと難しいなど、家族構成や状況でそれぞれ異なりますね。

食事と運動の深い関係

編集部:話題の腸内フローラをよくするにはどうしたらいいのでしょう。

後藤さん:まずは、腸の位置をきちんと正しい位置に整えておくことが大事です。そのためには筋力つまり運動が必要です。

また、筋力は呼吸とも深く関係があります。深い呼吸、つまり肺がしっかり膨らむようにするには、腹横筋の収縮や横隔膜がきちんと上下できることが必要で、そうなると、姿勢が重要になってくる。姿勢を保つには筋力が必要ですね。

逆に浅い呼吸は、首や肩周りの筋肉を使って呼吸をすることになるので、首や肩周りの凝りにつながります。

体の中の機能をうまく働かせるためには筋肉が必要なので、食べたものを体が吸収するためにも、運動が欠かせません。運動と食事は切っても切れない関係にあるのです。

分摂取はからだの巡りに直結している

編集部:運動以外で、からだの巡りにとって大切なことはありますか?

後藤さん:水をしっかり飲むことです。水分は、思うほど足りてない。あまり飲めない方は、お昼休みが終わるまでに500ml。午後から終業までに500mlを目安にしましょう。日中1リットルですね。飲まない方は1日500 mlも飲まないし、トイレにも行かない。

編集部:水分の出し入れをしっかりすることが大事なのですね。

後藤さん:そうです。水は吸収した栄養素を体の隅々まで行き渡らせ、老廃物を排泄する働きがあります。水をとっていないとこの機能がうまく働きません。

カフェインが含まれている飲み物は飲んでいるより出す量が多くなってしまうこともあります。コーヒーなどは飲んだ分、水もとってください。

また、鼻炎・花粉症などの鼻水、涙でも水分不足になります。乾燥したオフィスなど、体内の水分を失う機会は思っている以上に多いです。

脱水を解消するにはだいたい1時間くらいかかります。のどが乾かないからという理由ではなく、時間を目安に前もって水分補給をしましょう。

エクササイズするときは水、麦茶がいいでしょう。緑茶、コーヒーはカフェインに注意が必要です。細胞にきちんと水分を届けるためには、基本的には水がいいですね。

(編集後記)
食事だけでなく、情報も「咀嚼し味わうこと」というのは新しい発見でした!また、寒い季節は水分がおろそかになりがちなので、循環を意識して皆さんも日中1リットルを目標にしてみてはいかがでしょうか?

【後藤さんへのインタビュー記事はこちらからもご覧いただけます!】
しっかり噛んで食べていますか?咀嚼と健康の関係>>
「感じる+考える」からはじめる食事改善>>


後藤 優子

後藤 優子
福岡県生まれ
フィットネスクラブでの運動指導、アスリートトレーナー&栄養サポート、専門学校講師
■資格:日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、管理栄養士、スポーツ栄養士
■サポート歴:
[トレーナー]東福岡高校サッカー部、中京大学水泳部、大同特殊鋼ハンドボール部、DENSOボート部、名経大高蔵高校テニス部、女子空手選手パーソナルトレーナー
[栄養士]国学院栃木高校野球部セミナー、東京都少年野球連盟セミナー、競泳選手食事サポート、オムロン女子ハンドボール食事サポート、高齢者フレイル予防セミナー